ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第60回「"将軍の日"で夢の実現を!」

2014年8月12日 22:30

"将軍の日"の内容と、ブレイングループ"行動目標発表会"についてお話しています。


■大きな夢も、プロセスを計画すれば現実になる
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

当グループは毎年6月末が決算です。その少し前に介護事業会社ザイタックの小森代表取締役、顧問税理士さん、そして私の3人で「将軍の日」を行いました。これは経営者である私たちが丸1日かけて「5年後はこうありたい」というイメージを持つための日です。

―具体的にはどんなことをするのですか?

中期経営計画を立て、5年後の決算書を作ります。さらにその決算書を60分の1にして月次計画書に落とし込みます。そして次月から計画通りに達成できているかを顧問会計士さんにチェックしてもらいます。

5年後のイメージを現実のものとするには、月次計画書通りに目標を達成していくことが大事です。たとえ大幅に予想を上回ったとしても喜ぶことはできません。なぜならそれは予想がきちんとできていない証拠。会計士さんに怒られてしまいます(笑)ですから計画書は小森代表取締役がかなり時間をかけて作り込んでくれます。

そもそも介護事業は営業日数や季節などによって売上変動が激しく、さらに新規事業計画を入れれば投資、備品類、人件費、売上予測まで考えていく必要があります。大変苦労しますが、これらが詳細であるほど達成できる可能性も高くなります。

―今回で「将軍の日」は8回目になるそうですが、なぜ続けてこられたのでしょうか?

1回目の「将軍の日」で計画を立てたときは、「さすがにこれを実現させるのは難しいだろう」と思っていました。ところが予想に反して軽々と売り上げ目標をクリア。5年後には本当に計画通りになっていました。そのときの驚きと感動は忘れられません。今回立てた計画も5年後に実現していると思うとワクワクしてきます。

経営計画の重要性を提唱する人は大勢いますが、本当に実践している人はどれくらいいるでしょうか? 私にとって経営計画は心のよりどころです。どんなときも安心していられるうえに冷静な判断の助けにもなります。今では経営計画なしに会社を運営することなど考えられません。それは地図を持たずに見知らぬ土地を旅しているようなものです。

将軍の日のあとは、ブレイングループの「経営方針発表会」および「行動目標発表会」が行われました。これは全員参加を義務付けています。また経営者たるもの、年に一度は全社員の前できちんと経営方針を発表するべきだと思います。

―そこではどんなお話をなさったのでしょうか

新しく入ってきたスタッフも増えてきたので、改めて当グループのこれまでの歩みをお話ししました。

そもそも当グループが発足する以前の土岐市には、在宅医療に取り組む医療機関がありませんでした。そして私たちが行っている認知症の早期診断や治療、リハビリのシステムは全国でもトップレベルです。私は当グループが土岐市に大きな貢献をしてきたという自負があります。

このような歴史をお話ししたうえで、利益の重要性を説明しました。なぜか医療・介護業界には「利益=悪」と勘違いしている人がいますが、とんでもない話です。利益は企業を存続させるための絶対条件。そして利益を出すためには各部署の組織化が重要です。スタッフ全員が質の高いサービスを提供できる仕組みを作るのです。

ちなみに今回は勤続10年の社員4名と資格取得者(介護福祉士4名、ケアマネージャー1名、ファイナンシャルプランナー1名、福祉住環境コーディネーター1名)の表彰も行いました。出産を終えて仕事に復帰したスタッフにはカムバック賞を送ります。当グループは復職率が高く、大変うれしく思っています。

その後はグループの11部署による「昨年の目標の到達発表」および「来年度の行動目標発表」です。各部署10分、途中休憩を入れて110分の発表は迫力があります。

この発表会も6回目を迎え、全体のプレゼンテーション能力が向上してきました。演者はその部署で一番若いスタッフと決まっています。100名以上を前にして緊張している姿はとてもかわいらしいものです(笑)ここでは優秀な4部署を表彰しましたが、その発表内容を簡単にご紹介します。

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東濃訪問看護ステーション......「忙しい!」「大変!」など、思わず感情的な表現をしてしまう職場の状況を数字に置き換え、内容を吟味してくれました。またそのデータをもとに残業を減らす取り組みをしてくれたことも素晴らしかったです。経営者としてとてもありがたく思いました。

東濃デイサービス元町......お客様の状況を把握するための17項目を点数化。さらに改善したデータを地域のケアマネージャーへの営業ツールに反映させていました。その結果、グループ外のケアマネージャーからの紹介率が50%を超えました。

クリニック部門......受付・外来看護師さん主導で作られた仕組みのおかげで、15年目を迎えた現在もレセプト枚数が増え続けています。患者さんへの対応も非常にきめ細かく、もしこんなクリニックが他にあったら脅威です(笑)

脳リハビリセンター......学習療法の効果判定を年齢、性別、疾患別、学習療法継続年数別、介護度別にして詳細なデータを提示してくれました。もはや学会で発表しても遜色のないレベルです。さらに評価しづらいホスピタリティをうまく分析考察していました。
来年度の目標は、従来の学習療法に「感覚的刺激」「対人的刺激」「動的刺激」を取り入れてさらなる認知機能の改善を図ることです。その中には話題のアロマセラピーも含まれており、来年の発表が今から楽しみです。
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もちろん上記以外の部署も毎年レベルが上がってきています。私はいつも「可能な限り数字で考え、それを職場環境や営業の改善に利用してほしい」と言っていますが、よく理解してくれていると実感しました。以上、土台を固めながらどんどん成長していくブレイングループの行動目標発表会でした。(了)