ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第59回「内科検診!」

2014年8月 5日 22:30

ご自身の年齢、家族歴、家庭環境を考えての健診もしくは検診を受けることをお勧めします。


■「健診」と「検診」の違いを知っていますか
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

内科健診についてです。みなさんも学生時代や人間ドックで内科健診を受けたことがあると思います。

ところで医師は患者さんの胸に聴診器を当てて何を聞いていると思いますか? これは心臓に雑音がないか聞いているのです。私たちが特に注意するのは弁膜症です。

私が大学病院の研修医1年目だったとき、各学校で行われる内科健診に行くという仕事がありました。しかし当時の私は聴診器の音の聞き取りに自信がなく、「弁膜症の兆候を聞き漏らしてしまうかもしれない......」と不安でしかたがなかったのです。それを先輩医師に訴えると、「ごちゃごちゃ言わずに、正常な心臓の音を聞いてこい!」と送り出されてしまいました。

最初私は先輩が何を言っているのかわかりませんでした。しかし冷静に考えてみると治療が必要なほどの弁膜症であればこれまでに何らかの症状が出ているはずですし、そういう人はすでに専門医が定期的に経過観察をしているか、手術を終えているかしています。要するに私は必要以上に心配することはなかったのでした。一見突き放したようでも、先輩の言葉にはそれなりの根拠があったのです。

―現在、長谷川先生は中学校の校医も務めていらっしゃるそうですね

先日その学校で内科健診をしてきました。私はいつも高齢者の心臓の音ばかり聞いているので、中学生の心臓の音を聞くと生命力を感じます。引き締まった体をしている男子学生の中には、胸壁から心臓が動いているのがわかる子もいます。そこに聴診器を当てると音が大きくて耳が痛くなるほどです。

眼球に光を当てたときの対光反射を見ても反応が素早いです。やはり若い人は心臓の動きや神経の反応がいいですね。以前は学生の数が多く、1日に500人近くの聴診をして耳が痛くなったものでした。最近は少子化のためか200人弱で済んでしまい、少しさびしい気がします。

ちなみに健診というと、私には拷問のような思い出があります。冒頭と同じく私が研修医1年目のときですから、24年ほど前のことです。ある女子大の内科健診に男性研修医が4名ほど派遣され、私もそのメンバーに入っていました。

私は気楽なアルバイト感覚で行ったのですが、当日女子大生を診察する部屋に通されてみてびっくり。そこには何百人もの女子大生が上半身裸でいたのです。

通常なら中学生以上の女子生徒にはTシャツを着てもらい、その下から聴診します。しかしその女子大の保健の先生は診察の妨げになるからと、Tシャツの着用を認めなかったのです。

多くの男性からはうらやましがられそうな話ですが、実際にはそんなことはありません。何百人もの女子大生に対して私たち研修医はたった4名。むしろ女子大生の好奇の目にさらされています。こんなときに少しでも「にやり」とすれば、何を言われるかわかったものではありません。

私は心の中で「自分はこんなものを見ても全然嬉しくない!」と唱え、ややともすると緩みそうになる表情筋を必死に緊張させながら内科健診を行いました。「もう一度やれ」と言われてもお断りしたい拷問のような思い出です(笑)

―改めて「健診」と「検診」の違いについて教えていただけますか? 

まずは「健」診について解説しましょう。
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【健診】
受診者の健康状態を大まかに調べるためのもの。項目は比較的簡単かつ短時間でできる身長・体重・視力・聴力・血圧測定など。そのため健診では隠れた病気を特定することはできない。
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なお、健診は「個人の意思とは関係なく行われるもの」と「個人の意思で自由に受けられるもの」の二つに大別されます。

前者の一つが法定健診です。これは企業が労働者に対して年に1度もしくは2度必ず行わなくてはならないもの(定期健康診断)です。

後者(任意健診)の代表としては人間ドックです。人間ドックの検査項目は全部で100近くもあり、受診者はその中から受けたいものを自由に選択します。またCTなどの医療機器を使った精密検査も行うため、体の細部まで詳しくチェックして病気の早期発見につなげることができます。

一方、「検」診の解説は以下のようになります。
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【検診】
ある特定の病気を見つけるために行われる検査のこと。「がん検診」などが代表例。
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がんは体のさまざまな場所に悪性の腫瘍ができる病気です。そのためがん検診は胃がん検診・肺がん検診・大腸がん検診とコース分けされています。

乳がんや子宮がんといった女性専用のコースや、男性のみがかかり得るがん(前立腺がんなど)専用のコースを設けている場合も多く、それぞれの目的に合わせて選ぶことができます。

ぜひみなさんもご自身の年齢・家族歴・家庭環境を考え、「健診」もしくは「検診」を受けられることをお勧めします。(了)