ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第60回「法人格...株式会社とNPO」

2012年1月31日 20:30

株式会社とNPOの組み合わせれば、相乗効果が生まれます



介護事業には必要不可欠な法人格
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

法人格についてお話ししたいと思います。一般的に「法人設立は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、実際に経験してみると思いのほか簡単な部分もあります。

そのため複数の法人を持つ人も少なくありません。かく言う私も四つの法人を持っています。

―介護事業を展開する場合には法人格が必要だそうですね

その通りです。クリニックも個人事業主と医療法人に分かれますが、個人事業主のままでは介護事業を行うことはできません。

―長谷川さんご自身は個人事業主として開業されたそうですが、どのように介護事業を始めたのですか?

2000年4月に個人事業主として開業したクリニックとは別に、有限会社を設立しました。この有限会社は2003年7月から株式会社になっています。

もちろんクリニックの経営を軌道に乗せてから医療法人となり、介護事業を行うことも可能でした。

しかし第44回「老人保健施設から医療法人を考える」でもお話ししたように、私は医療法人の規模が大きいことは経営上好ましくないと考えています。そのため有限会社を設立したのです。

現在は条件の緩和に伴い、最初から株式会社を設立することができます。

―株式会社を設立する際のポイントを教えてください

資本金1円でも株式会社の設立が可能になりましたが、それは必ずしも介護事業に当てはまりません。なぜなら介護事業は国保のお金が入ってくるまで2カ月かかるからです。

当然ながらその間にも建物の賃貸料や従業員の給料などを支払う運転資金が必要です。少なくとも会社の資本として1000万円程度を確保してからスタートするべきでしょう。

NPO法人が利益を上げても構わない
―株式会社、医療法人の他に介護事業が展開できる法人格はありますか?

NPO法人でも可能です。NPO法人は無償の社会奉仕しかできないと思われていますが、実際は利益を出すことに制限はありません。

そもそもNPO(Nonprofit Organization)のProfitは「分配」と言う意味。そしてNonprofitは「利益を分配できない」ということです。

例えばある事業によって利益が1000万円出たとします。株式会社であれば株主に1000万円が分配されますが、NPO法人はそれができません。

またNPO法人の役員報酬は役員総数の3分の1までしか支給できないという決まりもあります。

―NPO法人にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

NPO法人は利益を分配できないので、お金が残りやすいという特徴があります。そのため他の法人よりもスタッフを厚遇できるのです。

理事・スタッフ・税金それぞれに適正な配分がなされるという点において、NPO法人は非常によくできた仕組みだと思います。

―長谷川さんもNPO法人によるグループホームを手掛けていますね

私がNPO法人を設立したときも国から助成金が出ました。利益幅が薄く、株式会社が参入しないところはNPO法人に任せるという国の意図があるのだと思います。

―株式会社とNPO法人はどちらがいいのでしょうか?

介護事業は株式会社とNPO法人を組み合わせたほうがうまくいくと思います。お断りしておきますが、私は株主に利益が分配できる株式会社を否定しているわけではありません。

株主の存在は企業の成長を促したり社員のやる気を奮い立たせたりする側面があるからです。

そこで同じグループ内に株式会社とNPO法人を設立し、公益性が高い分野はNPO法人が参入すれば相乗効果が出てきます。どちらが優れているかではなく、二つの法人を組み合わせることが大事です。(了)