ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第8回「マーケティング:対象者?」

2011年2月 1日 20:36
事業主も対象者である利用者様の介護が必要となる状態を理解することが大切です。

経営者は「俯瞰」が大切

―第8回目はどんなお話をしていただけるのでしょうか


今回は「介護事業における対象者をイメージできますか?」という問いかけから始めたいと思います。「介護事業における対象者」は「介護が必要になる状態」と言い換えることもできます。意外なようですが、介護事業所の経営者でもよくわかっていない人が多いのです。


―経営者は直接介護サービスに携わらないとはいえ、介護対象者と接する機会は多いと思うのですが...... 


確かに介護対象者は身近な存在ですが、その実態を俯瞰して考えることはなかなか難しいのです。そこでこの問いかけを通して、経営者の注意を喚起したいと思います。


―そもそも「介護が必要になる状態」はどんな場合を指すのでしょうか?


「認知症介護」と「身体介護」の二つに大別されます。「認知症介護」は認知症によって判断能力が低下し、他人の援助を必要とする状態です。例えば銀行口座からお金を下ろす、買い物をする、あるいは契約などのさいに第三者の助けを必要とします。一方「身体介護」は、運動機能が低下したためにトイレに行ったり外出したりするときに介助を必要とする状態のことをいいます。


介護事業所の経営者がこの分類を理解すると、「自分たちが提供している介護サービスはどんな人を対象にしているのか」が明確になります。そのうえで自社サービスを形成し、事業展開していけば世間のニーズを見誤ることもないでしょう。「認知症介護」と「身体介護」の理解は、現場スタッフのみならず経営者にとっても大前提の知識なのです。


ぴんぴんころり運動とは

―長谷川さんは一般の方にも「介護が必要になる状態」を理解しておくようにすすめているそうですね


現在は介護を必要としていなくても、高齢者の中には「これから自分はどうなるのだろう」「いずれは他人の手を借りなければ生活できなくなるのだろうか」と不安を覚えている方は多いと思います。しかし先ほど述べたように「介護が必要になる状態」は「認知症介護」と「身体介護」の二つしかありません。つまり認知症になることなく、運動機能を保持すればこれから先も自立した生活が送れるのです。このことを講演などで説明すると、「漠然とした不安がなくなり、明るい気持ちになりました」と感想を述べてくださる方もいます。また、この考え方は長野県で推奨されているぴんぴんころり運動にもつながります。


―ぴんぴんころり運動とは何でしょうか?


いつまでも元気で身の回りのことは自分で行い、病まずにコロリと亡くなることを目標にした運動です。それにぴんぴんころりが実現すれば医療費も抑えられます。これからは介護事業者も「認知症介護」や「身体介護」を防ぐサービスを提供し、ぴんぴんころり運動に参加することが大事だと思います。そうすればますます社会に受け入れられる事業所にすることができるはずです。(了)