ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第80回「テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』出演」

2015年1月 6日 22:30

2015年最初の配信は、昨年10月に長谷川がテレビ初出演した、テレビ東京の『開運!なんでも鑑定団』のお話です。


■ネットで購入した絵が、驚きの鑑定額!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

今回は、平成26年10月28日(火)に、私がテレビ東京の『開運! なんでも鑑定団』に出演したときのお話です。出演に至ったのは、2010年7月23日に書いたブログがきっかけでした。そのときの記事を抜粋したいと思います。

"私が、絵画に目覚めるきっかけになった画家は西村計雄さんです。美術専門誌を見て "良い絵だな!"と思って、作者をみるといつも西村計雄さんでした。そんな雑誌でしか見たことがない絵に、たまたま誘われたゴルフ場の風呂場で出会ってしまいました。実物を見たときの感動、まさに大脳辺縁系の扁桃核が"快"を感じました。多くのゴルファーは何も気にせず、通り過ぎていきましたが、一人風呂場にかかった絵に見入っていました。同じ人生、"飾られている絵に、意識をもって過ごしたい"と感じた一瞬でした。その後、縁あって西村計雄さんの作品を数点所有する事になりました。その中に西村計雄先生自身が選んだ自選集の巻頭を飾った80号の大作で"竹"という作品があります。実は、その作品が我が家の玄関を飾っています。入手経路は、なんとインターネットオークションです。なぜこれほどの作品がオークションにと一抹の不安もあります。西村計雄記念館に同じ画題のものがありますが、それよりもサイズは大きいものです。いずれは、なんでも鑑定団にでも出品して鑑定をお願いしようかと考えています。"

という記事をブログに上げていたところ、それを読んだ番組スタッフから、平成26年9月19日にお電話をいただきました。とんとん拍子に出演が決まり、取材・スタジオ収録となったのです。

スタジオ収録の前に、『開運! なんでも鑑定団』のスタッフの方々には、岐阜県土岐市にまで取材に来ていただきました。認知症専門医としての私の生い立ちと、頭や身体のリハビリをしているデイサービスを紹介するVTRを作ってくださり、ちょっとしたブレイングループの宣伝番組のようでした。その後は、自分の絵に対する想いを、認知症で萎縮する"感情を司る扁桃核"を例に挙げて語りました。これらをわずかの時間でまとめる技術には感動です。

そしていよいよ、東京品川のテレビ東京での収録です。2週分をまとめて収録するため、到着すると前の週の鑑定が行われていました。何気なく見ていると「海で拾った壺」が350万、さらに次の方は「蘭花譜」が350万でした。ついで同じ放送日のゲストの今井華さんの絵が150万、さらに「獣医さんの鍛冶道具」が200万と、あまりにも高額鑑定が続いています。これは流れ的には、大幅ダウンかと腹をくくっていました。内心、本人評価額もいくらにすべきかと悩んでいました。

しかし、西村計雄さんの紹介VTRを見ていると、徐々に自信がみなぎり、120万円で購入しておきながら、本人評価額を480万円と答えました。会場からは、"冷ややかな"そして"大幅ダウン期待"のざわめきが起こりました。そして結果は、驚きの1000万円です。今田耕司さんも、ゲストの今井華さんも口を開けていました。

――先生の審美眼が証明されたということですね

ちなみに、スタジオで西村計雄さんの紹介VTRを見ている間中、今田耕司さんから話しかけられていました。スタジオにいた家族からは、「何を話していたの?」と聞かれました。実は、身内の認知症の相談だったのです。華やかな芸能人も、個人に戻れば認知症に関わらないわけにはいかないのだなと改めて感じました。

さて、このように、西村計雄さんは、フランスではかなり有名な画家です。ピカソを育てた画商・カーンワイラーからはピカソ並に高く評価されました。その結果、フランス芸術文化勲章を授賞されています。その割に、日本ではあまり知られていません。この点については、西村先生の教え子である、永六輔さんが以下のように言って見えます。

"(岡本)太郎さんと計雄さんは、東京美術大学(現:東京芸術大学)の同級生。二人とも、世界で注目され、日本の画壇からは、なぜか冷たくされています。そういう不幸な国なんですよ、この国は。太郎さんや計雄さんのような、ユニークな生き方、ユニークな作品を作り続けている人には、とっても不幸な国なのです。"

そのとおり、この国ではあまりに斬新だと評価されません。それよりも、「○○会」や「○○派」というような派閥が重視され、そこに属している方が画家自身も安泰なのです。

――画壇も、社会と同じような仕組みなのですね

日本の画壇の現状を、篠田桃紅さんは、"動物園で飼い慣らされるか、野生で生きるか?"と評されました。日本でしか評価されていない画家は動物園で飼い慣らされていると思っていますが、西村さんはまさに野生で生きたと言えます。

ところで、『開運! なんでも鑑定団』での評価は、番組独自のものです。しかし、番組を機に埋もれていた作家の評価が上がることもあります。西村計雄さんもこれを機に再評価されることを期待しています。誤解のないように申し上げますが、今回の番組出演で、僕に鑑定額1000万円が入ったわけではありません。寄付等の御依頼はお断りします(笑)。また相続したわけでも、売る予定もありませんので、税務署の方もご遠慮ください。(了)