ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第69回「何が起こるか分からない!浮気・地震・突然死まで想定を!」

2014年10月14日 22:30

人生はいろいろとありますが、予想できるものは予想しておきましょう。


■予想できることは事前に対策!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?


最近気になることがあります。少し前のNHK朝のテレビ小説『花子とアン』中で、主人公の親友である蓮子が、政略結婚した夫を捨てて他の男と駆け落ちするシーンがあったのです。「NHKにあるまじき!」などと、新聞の投稿でも賛否両論の議論となりました。

民放でも、フジテレビの木曜22時枠ドラマ(木曜劇場)で上戸彩主演の『昼顔~平日午後 3時の恋人たち~』が放映されていました。夫を会社に送り出した後、家事をキチンとこなし、平日昼間に別の男性と恋に落ちる主婦のことを指す造語「平日昼顔妻」がテーマとなったドラマです。

さらに気にしてみていると、平成26年7月10日から日本経済新聞で『禁断のスカルペル』(久間十義著)の連載がスタートしました。この小説は、病院の泌尿器科に勤務する女性医師が主人公です。自身の不倫が原因で家庭の崩壊、腎臓移植手術、天災などの出来事に直面し、葛藤しながら力強く生きる姿が描かれるようです。すっかり導入から引き込まれています。

いずれにせよ、少し前までは不倫といえば男性が主役でした。しかしNHK、民放、日本経済新聞が同時に女性の不倫を取り上げるとは、「まさか話し合いによる情報操作?」と疑ってしまいます。女性に不倫された男性は、以前ご紹介した老後の三重苦=3B(BOCCHI(孤独)、BINBO(貧乏)、BOKE(認知症))にまっしぐらです。そんな男性を尻目に、女性がますます強くなる時代の予感さえあります。

ところで『花子とアン』の中では、主人公の夫が村岡印刷の新社長の座に就いた後、大正 12年 9月 1日、関東大震災の被害を受けて工場が全焼してしまいます。実際に、村岡印刷のモデルになった横浜の福音印刷工場は倒壊し、職工70人余りが下敷きとなり亡くなったそうです。そこから主人公や周囲の方々は多くの困難を受けることになります。

同じようなシーンが、高校時代に見たドラマ『おしん』でも描かれていました。上京して、洋髪を主とした髪結いとして活躍していたおしんは、ふとしたきっかけで羅紗問屋「田倉商店」の主人・田倉竜三と出会い、親の反対を押し切って結婚。商売にも才能を発揮し、子供服の製造業で工場を構えるまでになりました。しかし事業拡大のための新しい工場落慶の日に、関東大震災で全てを失ったのです。

それ以来、私の心には、「どれだけビジネスがうまくいっていても、天災を忘れてはいけない」と刻まれました。この国でビジネスを行う以上、「地震は起きない」と考える方が、無理があるのではないでしょうか?

東北大震災で困っている経営者がいることも事実ですが、よくよく話を聞いてみると、被災以前にも無理な経営をしていた方が多いと感じています。地震が起きて、1年間売り上げがゼロでも、十分なキャッシュがあれば何も困りません。実際にそのような健全経営の会社もあるのです。

―会社に体力があれば被災しても持ちこたえることができるのですね

そのとおりです。そのため経営者には、少々儲かったからといって高級車に乗ったり贅沢をしたりするような余裕はありません。幸い当グループは、天災があって売り上げがゼロでも、1年間は給料を払えるだけの体力がつきました。ブレイングループは営利企業ですが、医療や介護分野を専門としているため、地域における社会資本でもあると考えています。ですから、何があっても生き残る必要があるのです。

地震以上に確実に起こることは「経営者の死」です。そこで、おすすめしたいのが遺言作成です。私は、46歳の時に作成しました。中小企業の経営者が亡くなったとき、何が起こるでしょうか? 組織化されていない中小企業であれば、売上が落ちて、資金繰りも悪くなるかもしれません。また借入金の返済も滞るかもしれません。その結果、従業員が路頭に迷ったり、経営者の家族が不遇な環境に陥ったりする可能性もあるのです。

皆さん「死を考える」ということを嫌がるのですが、誰にでも必ず訪れることですし、遺言作成は、経営者が死んだ時のシミュレーションのようなものです。例えば借入金の返済をどうするか? 法人加入の保険金で、完済を考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、1億円の借金の返済のためには1億円の死亡保険金では不十分です。法人加入の場合、死亡保険金は雑収入になるため借入金より死亡保険金を多くする必要があります。具体的には1億円の借入返済であれば、約1.5億円程度の死亡保険金が必要です。

また、残された家族のために法人から死亡退職金受けとることも重要です。そのためには、死亡保険金の原資になるような保険加入も必要となります。このように、遺言により具体的な対策を練ることで、会社のリスクを軽減したり、残された家族への責任を果たしたりすることができるのです。遺言作成は"経営手法の一つ"と言えます。

遺言には"付言"という項目もあり、残された家族に対する言葉を記載することができます。映画やドラマだと、臨終の間際に「世話になった」「がんばれよ」と家族に声をかけるシーンがよく見られますよね。しか、私は医師になってから1000名以上の看取りをしてきましたが、家族に最後の言葉を残す方は皆無です。

そこで私は気が付きました。遺言は、財産分割のためだけに書くものではないのです。財産の分割以上に、家族に最後の言葉を残すことが重要なのです。どれだけ工夫をしても財産を完全に平等に分割することはできません。しかし、残された家族に対する「愛情」だけは平等に残す事ができるのです。ですから、経営手法の一つとして、残された家族へ最後の言葉を届ける手段として、遺言作成をおすすめします。

女性の浮気、地震、突然死、人生いろいろありますが、予想できるものは事前に対策しておきましょう。(了)