ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第68回「お金持ち本のご紹介・年金辞退について」

2014年10月 7日 22:30

共通した事が書かれているお金持ち本2冊のご紹介と、年金辞退についてお話しています。


■たくさん稼いで、たくさん税金を払い、年金も辞退する
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?


今回は、「お金持ち」をテーマにした本を2冊紹介します。1冊目は、『すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える』(山田順著/ヒカルランド)。「お金を稼いでいる人の上位1%は何を考えているのか」ということが知りたい方におすすめです。本の中から、私が気に入った部分を引用していきます。

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お金持ちは常に資産価値を考えている。思考法は常にポジティブで、誰かの助けで金持ちになるとは考えない。 "金持ちは、毎年増える魅力的な資産だが、女性の美しさは、いずれ消える"。

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富裕層の定義は、資産がワンミリオン(100万ドル)を超える人。日本は265万人で全体の2%が富裕層。日本人は中間層が分厚く、総資産10万ドル越えになると、5545万人。しかしスイス系金融機関が相手にしたい1億ドル以上の超富裕層は、日本には200世帯しかいない。
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お金を邪悪だという人が現れたら、すぐに身を遠ざけよう。その人は貧乏神だ。
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「1%の人々」は仕事と遊び、オンとオフを区別しない。
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徹底した合理主義が1%への近道。徹底して無駄を嫌うため人からはケチといわれることも。具体には、単なる飲み会やカラオケにはいかない。娯楽でなく浪費だから。貧乏人は消費して、金持ちは投資する。
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生活習慣
・ 肥満は貧乏人の証拠、特に女性は......。お金持ちの女性ほどよく運動してぐっすり眠る。
・ お金持ちほど朝食を摂取し、野菜の摂取量も多い。さらに朝型人間である。
・ お金持ちは、お酒は飲むがたばこは吸わない。
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私は日頃から「タバコを吸うような人に人生の成功はない」と言い続けていますが、どうやらそれは私だけの意見ではないようです。

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10億円までの富裕層は、株式や、ヘッジファンドなどのリスクマネーで運用するのに対し、超富裕層になると債券などで運用するという安全志向が高まる。
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これは大変勉強になりました。私も周囲の人から「株で儲かった」「株に投資した」という話をよく聞きますが、超富裕層はリスクマネーで運用する必要がないのです。たとえば安全な債権を10億円分買って4~5%の金利がつけば、それだけで年間4、5千万円の運用益が出ます。ですから、決して無理はしないのですね。「株のことを言っているうちはまだまだだな」と思いました。

もう1冊は『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』(新井直之著/幻冬舎)。皆さん、執事サービスってご存知でしたか? 私も漫画では見たことがありましたが、本当にこの国に存在しているなんて知りませんでした。この本によると「執事サービスのお客様は、富裕層のトップクラスで保有資産は50億円以上、年収は最低でも5億円以上」だそうです。

この本も大変参考になりましたので、さきほどの本との共通点を説明しながらご紹介したいと思います。

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大富豪の方々が大切にするのは、まだ社会的に成功されていない方、つまり"まだ偉くない人"たち。
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「常に先行投資を意識している」という意味では、さきほどの話と共通していますね。

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殆どの大富豪は、その才能に相当の努力を積み上げている。しかし、仕事に追われるのではなく、いつも仕事を追いかけている印象です。派手な装いはしない。彼ら共通のマインドは、『目立ちたくない』です。つまり、目立つことはリスクなのです。
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「本当の金持ちってどこにいるのだろう?」と考えても、あまり想像がつかないですよね。それは彼らが目立つのを避けているからです。逆に、ちょっと儲かったくらいでテレビに出てチャラチャラしているのは本当にリスキー。何かあったらどうするのだろうと思ってしまいます。本当に儲かっている人はああいう場には絶対に出てこないでしょうね。

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大富豪は、仕事と遊びの境界線がはっきりしていません。「仕事をセットにしたら休暇を楽しめない」のは、一般人の発想。そもそも大富豪のビジネスは、"趣味の延長"なのですから。
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これはさきほどの「オンとオフを区別しない」と共通している点ですね。


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大富豪に失敗の文字はない。たとえ9割の失敗があっても、それは成功しない方法を見つけるための実験だと捉えます。
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彼らは敵を作りません。自分が正しくて、裁判で勝てると確信しても戦うこ
とをしません。そのことに費やす時間と労力が惜しい。 つまり、怒りにパワーを使いません。お金で解決できれば万々歳と考えるのが大富豪。

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大富豪は早寝早起きが基本。性格的には、せっかちで、完璧主義の方が多いようです。
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朝型というのはさきほどと共通点ですよね。実はこのポッドキャストの収録も朝8時から行っているという朝型の私たちです(笑)。

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聞き上手でおだて上手。「相手を立てれば蔵が建つ」という考え方で、ストレスが全くございません。敵をつくらない、目立たない、こだわらない、過去を振り返らない、どれもストレスを回避する有効な処世術。超・規則的な生活をなさいます。
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人生で最も大切なのは時間と健康。健康は維持するものでなく、常に追求し続けるもの。大富豪は、喫煙者に限らず"不健康な人間はそばに近づけない"という傾向がある。
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さきほどにも「タバコは吸わない」ということがありましたが、こちらはさらに一歩進んで「不健康な人間は近づけない」とまで言い切っています。私も執事サービスを使っているわけではないし100億円の資産があるわけではないのですが(笑)、ここだけは共通点ですね。

2冊ほど「お金持ち本」を紹介しましたが、このように共通点が多いので、できたらセットでお読みになるとより楽しめると思います。

―長谷川先生が超富裕層になったらしてみたいことはなんでしょうか?

私がそれなりの資産を築き、安定した収入が確保できれば挑戦してみたいことがあります。"年金辞退"です。現在、公的年金の財源が将来にわたって不足することが懸念され、支給開始年齢の引き上げが議論されています。実はこの公的年金、必要ない人は受け取りを辞退することができるのです。以前はいったん受給開始手続きをすると停止できませんでしたが、2007年4月からは、受給開始後も停止や再開が可能になっています。

国としては、この仕組みが活用されて富裕層が受給を辞退すれば、年金財政が少しは改善するのではと期待していたようです。制度ができた当初は、当時の厚生相の丹羽雄哉・自民党総務会長らが率先して辞退を表明しました。(私も厚生労働大臣になったら年金を辞退しようと思います。まだその予定はありませんが......)

しかし、この仕組みができて7年が経過しましたが、日本年金機構によると「辞退者は533人」だそうです(※2014年3月末の集計結果)。そのうち老齢年金は181人だけで、他は障害年金と遺族年金の受給者。本当に老齢年金の辞退者は少ないのですね。

一方、4月の国民年金と厚生年金の受給件数は合計約4000万件。これに比べると、辞退による給付削減効果は殆どないようです。

仮に支給額が上位の1万人が辞退すると、単純計算で「年間 200億~300億円程度が浮く」そうです。支給額全体からみれば小さいのですが、ねんきん定期便の郵送料など通信費(12年度は242億円)程度は賄えるのではないでしょうか。

私の周りでも年間400万円、500万円の年金をもらっている人がいます。でも、毎日一生懸命働いてもそれだけ稼げない人は世の中にいっぱいいるわけです。「過去に保険料を掛けてきたから貰うのが当然の権利」と言われればそれまでですが、汗水たらして一生懸命働いた人の収入より、何もしていない人が貰える年金額が多いというのは違和感があります。せめて、常識的な支払い上限額を設けておくべきではないでしょうか。

大半の人にとって年金は老後生活を支える貴重な柱で、保険料を払ったからには受け取りたい気持ちもわかります。しかし、「幸い資産があるから、社会保険に頼らなくても大丈夫」という"気概"を持てるようになりたいものです。多額の資産を持ちながら「国がくれるものはなんでもほしい」というのは美しくないと感じます。

国も年金辞退者に対して、何らかのインセンティブを用意すると良いと思います。たとえばバッチや表彰状をあげるとか、実利で言うと相続税を安くするとか、社会的なメリットがあれば「辞退してもいい」と言う人はいると思います。

この国はお金を稼ぐことを、"悪"とする風潮を感じます。"たくさん稼いで、たくさん税金を払い、年金も辞退する"ことが社会で称賛されるようになれば、もっと年金を辞退される方も増えるのではないでしょうか。(了)