ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第64回「少し儲かった位で高級車に乗るな!」

2014年9月 9日 22:30

長谷川の顧問であるSMC税理士法人の曽根康正先生から教わった事をお話しています。


■経営者には「投資家的発想」が必要です
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

先日、私の顧問であるSMC税理士法人の社内勉強会で講演をさせていただきました。「ブレイングループがここまで大きくなれたのも、毎晩経営のことを心配せずに眠ることができるのも、曽根康正先生およびスタッフのみなさまのおかげです」。私は講演をこんな感謝の言葉から始めました。

私は心にもないお世辞やリップサービスを言う性格ではありません。そんな私がなぜ最初に感謝の言葉を述べたのか。それは会計事務所の仕事は経営者の命にも関わる重要なものであることをみなさんに知ってもらいたかったからです。

この講演に備えて資料を作っていたとき、曽根先生のセミナーに初めて参加した11年ほど前の記録を見つけました。改めて読み返してみると、

・役員報酬の額も戦略的に決めろ
・受け取った役員報酬は万が一に備えて貯めておけ
・生命保険は外部留保だ
・借金は金利ではなく、期間が大事
・借入期間と減価償却が近いほどキャッシュが楽になる

など、今となっては当然の知識がたくさん書き留めてありました。私がコンサルティング先に口酸っぱく指導している内容も、もとをただせば曽根先生に教えていただいたことです。

―長谷川先生は医療法人を中心に経営コンサルティングをしていらっしゃいましたね

はい。しかしながら私のクライアントが雇っている顧問税理士のレベルの低さには頭を悩まされています。例えば

・月に1回は税理士と面談して月次報告書をもらうこと
・月次報告書は翌月の中日(15日頃)までに出すこと

これらはごく基本的な、必要最低限のことです。それにもかかわらず実践できているところは多くありません。まともな月次報告書を作れる税理士が少ないことにも驚かされます。しかし、こんな状況を許している経営者にも問題があるのです。

私のクライアントには医師が多いので「直近の月次報告書がないということは、血圧や体温などの情報なしに手術をするようなものですよ!」と説明しています。

優秀な税理士に出会うためには、彼らの能力を判断する基準を持つ必要があります。しかしそんなことができる経営者はほとんどいません。これでは月次報告書をもとに1年先、5年先の経営計画を練ることなど夢のまた夢です。

―経営者は税理士を使いこなせるようにならなければいけませんね

その一方で税理士の本質を理解しておくことも大事です。税理士はあくまで「税金の計算をする人間」であり、本来はそれ以外の相談をする相手ではありません。

なぜなら彼らの経営規模は小さく、大勢の人を雇用したうえで経営するという経験もない。そんな人たちに経営者ならではの悩みを訴えても無駄というものです。これを理解することができたら、経営者のステージを1段上がったと言えるでしょう。

その点、私の顧問会計士である曽根先生は経営についても厳しく的確に指導してくださいます。

―曽根先生の指導で、印象に残っているものはありますか? 

先生はつねづね「少し儲かったぐらいで高級車に乗るな!」とおっしゃっています。確かに経営者として未熟な段階で高級車に乗っても、周囲の人たちから応援してもらえません。当然ながら取引先や銀行の担当者からも好感は持たれないでしょう。

そして高級車を乗り回している社長を見たとき、その下で働いているスタッフはどう感じるでしょうか? 「そんな余裕があるなら、私たちの待遇を少しでも改善してほしい!」と思うはずです。経営者は彼らの気持ちを一番に考えなければいけません。

高級車は「投資」と「消費」のどちらかといえば、まぎれもなく「消費」です。場合によっては「消費」以下の「浪費」になるおそれもあります。厳しいようですが、高級車に乗って得意になっている経営者は「投資家的発想」が欠如しているのです。

また自分の周りにどんな人間が集まっているかを考えることも大事です。高級車に乗ることをなにか立派なことのように思い、ほめそやす取り巻きばかりになっていませんか? 

こんな仲間しか持たない経営者は、一時成功することがあっても誘惑に負けて失敗することは明らかです。「西田塾」の西田文郎先生も「ツキのない奴はツキのない奴同士で集まる」とおっしゃっています。素晴らしい結果を出している人は自他に厳しいものです。

もちろん「消費」が世の中のためになることは否定しません。曽根先生も決算上の数字がかなりよくなったときは「高級車を買ってもいいですよ」と許可してくれます。

ところが、いざそうなると高級車に関心がなくなるから不思議です。なにせこの数字を実現するまで相当な努力をしてきたのですから。

ちなみに私も5年落ちで1万4000キロしか走っていない200万円の車を購入しました。親しい経営者仲間はこの選択をたいそうほめてくれます。優秀な経営者である彼らも負けず劣らす倹約家で、話をしているとお互いに貧乏自慢をしているような気になるほどです(笑)

私が徹底的に無駄を省いた「筋肉質な経営」ができるのも、こんな仲間たちと日々切磋琢磨しているからなのです。(了)