ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第62回「素晴らしい写真との再会...風景写真家 前田真三」

2014年8月26日 22:30

北海道・旭川の講演とともに、前田真三さんのギャラリーや北海道の色んな場所を楽しんだ長谷川です。


■自分の青春時代を回想した北海道の旅
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

先日、素晴らしい写真と再会しました。前田真三さんの写真です。私は18歳のときに彼の写真集を購入していました。値段は3800円。当時の経済状況からするとかなり高価な本です。しかも私は写真集を購入するような趣味は持っていませんでした。そんな私に購入を決意させるほど、彼の写真集はインパクトがあったのです。

最近はその写真集の存在さえ忘れていたのですが、愛知県で催されていた写真展に行く機会がありました。彼の写真を見ると、私の扁桃核が「快」と感じるのです。18歳のときに感動した記憶を海馬がしっかり覚えていて、瞬時に「快」と判断したのでしょう。

写真展の会場で、前田真三さんの写真ギャラリー「拓真館」が北海道の美瑛にあることを知りました。ちょうど平成26年6月22日に旭川で講演する予定があり、「拓真館」は旭川空港から車で30分の距離です。当初は講演だけのつもりでしたが、レンタカーを借りて足を延ばすことにしました。

―「拓真館」ではどんな作品が展示されていましたか? 

美瑛町を中心とした丘の風景写真が並べられていました。特に代表作の『麦秋鮮烈』は、「これが写真?」と思わせるほどの斬新さです。そしてありきたりな言葉になりますが、とても癒されます。

私は観光地などで写真を撮ることに夢中になっている人たちに対して、「人間の眼で見る以上の感動はないのに......」と残念に思っていました。しかし前田真三さんの写真は実際の風景以上の感動を起こさせるのですから不思議です。

「拓真館」での鑑賞の後は美瑛と富良野を堪能しました。実は学生時代、車で2週間、バイクで2週間と北海道を回ったことがあります。しかしそのときは旭川を中心とした道央には縁がありませんでした。そこで今回は「ぜるぶの丘」「ケンとメリーの木」「四季彩の丘」に寄り、当院のナースもお勧めの「青い池」を訪れました。ここは人気タレントのローラさんが出演するコマーシャルのロケ地であり、その影響もあってか大勢の人たちでにぎわっていました。

この「青い池」が誕生したいきさつはとてもユニークです。なぜなら昭和63年12月に十勝岳が噴火した後、火山災害から美瑛町を守るためにコンクリートブロックによるえん堤をつくったところ、そこに水が溜まってできた人工池だからです。

池がこれほどまでに青く見えるのは、白金温泉地区で湧出しているアルミニウムを含んだ水が美瑛川の水と混ざることが原因だそうです。青い池の中でカラマツなどの木が立ち枯れていている景色はとても幻想的で、コマーシャルに負けないほど素晴らしいものでした。それだけにハイシーズンには相当の混雑が予想されるので時期をずらしたほうがいいかもしれません。

―その他にも訪れた場所はありますか?

富良野の「富田ファーム」にも寄りました。30年前とは比べ物にならないほど立派になっていて、とても感激しました。地元の方に勧められて寄った麓郷(ろくごう)展望台も素晴らしい眺めでしたね。観光ガイドにもあまり載っていない穴場で、今回の旅の中で最も素晴らしい風景でした。

そこから旭川に戻り、旭川ラーメンを食べて旭川グランドホテルで講演です。当日は400名を超える方々に集まっていただき、大変な盛り上がりでした。そうはいっても「今回の旭川訪問は観光のためでは?」という声が聞こえてきそうですが(笑)観光はあくまで講演のついでですのであしからず。

講演後には「三浦綾子記念文学館」に行きました。地元のパンフレットを見て旭川は三浦綾子さんが生まれ育った地であることを思い出し、文学館を訪れることにしたのです。

私も学生の頃、三浦綾子さんの作品はずいぶん読みました。代表作『氷点』(角川書店)は「自分の娘を殺した犯人の娘を養女に!?」という衝撃的な設定で、小説のみならず映画やドラマにもくぎ付けになりました。

『塩狩峠』(新潮社)も印象深い作品です。この小説の最後、鉄道職員である主人公の永野信夫は塩狩峠の区間で暴走しかけた旅客列車を止めようとして自ら車両の下敷きになります。彼は自分を犠牲にして乗客の命を救ったのですが、なんとこれは実話をもとにしています。それを知ったときは大きな衝撃を受けました。

三浦綾子さん自身も壮絶な人生を送りました。若い頃に脊椎カリエスをわずらって10年近く寝たきりになり、晩年は白内障やパーキンソン病に罹患します。しかしそんな境遇にあっても彼女は次のような言葉を残しています。本当にすごい発想です。
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「こんなに多くの病気にかかって、神様は自分をえこひいきしているのではないかと思います」 

「私は病気を一つするたびに、一つずつ新しいことを学びました。素晴らしい恵みを受けました。だから神様は自分をえこひいきして、病気を通して特別に神の恵みを与えているのではないかと思うのです」
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今回の旅行では、前田真三さんの写真や三浦綾子記念文学館などを通して自分の過去を振り返ることができました。つくづく「現在」は「過去」あってのことと実感します。さらに私が年を取り、50歳前後の自分を振り返ることがあるでしょう。そのとき後悔することのないよう、今後も新たな挑戦をして人生を輝かせていきたいと思っています。(了)