ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第46回「NISAを勧める人には注意しましょう」

2014年5月 6日 22:30

NISAは消費者のためではなく、金融機関が売りたい商品なのです。


■初心者向け? とんでもない!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

今年からNISA(ニーサ)という個人投資家のための税制優遇制度が始まりました。それに合わせてNISAの広告も増えてきています。

NISAは平成26年1月1日からスタートした個人投資家向けの少額投資非課税制度です。イギリスで広く普及しているISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)を参考にした制度であり、これに日本(Nippon)のNをつけてISAの普及・定着に取組むという趣旨からNISAという愛称で呼ばれています。

NISAは利用者1人につき、各金融機関で1口座のみ開設可能です。そのため金融機関は最初のお客さんの取り込みに必死です。私のところにも売り込みに来たり、いきなり申込書を送りつけてきたりする金融機関があります。ひとくちに金融機関といってもいろいろな銀行や証券会社があるので初心者は混乱してしまうのではないでしょうか。とはいえNISA口座の開設数は既に400万件を超える見込みとなり、金融業界は大盛り上がりです。

―NISAを始めるときはどこで口座を開けばいいのですか?

銀行でもいいのですが、株式取引を行いたい場合は証券会社で口座を開設する必要があります。なお、今まで株式取引をしていた一般の特定口座からNISA口座に移動することはできません。これは投資経験者からすれば大変に不便です。

―NISAにはどんなメリットがあるのでしょうか

一般的に株や投資信託などの資産運用で利益を得ると税金が2割かかります。しかしNISAを利用すると税金がかかりません。無制限ではありませんが年間100万円までの運用で5年以内に得られた利益が非課税になります。

しかしいまどき税金を気にするほどもうかる商品があるでしょうか? そのため私はNISAに疑問を抱いています。

NISAのデメリットとしては、税金がかからない代わりに損が発生しても損益通算や損失の繰り越しができないことです。

通常はA社の株で利益が出て、B社の株で損をしたときは両方を合算して利益の額を計算します。これが損益通算です。このとき利益が出ていると税金がかかりますが、損失が多い場合は免除されます。さらにその損失を持ち越して翌年の利益と相殺することが可能です。これが損失の繰り越しです。繰り越しは最大3年まで可能です。

いずれも株式で損失が発生した際に役立つ仕組みですが、NISAには適用されません。

つまりNISAを利用した投資で損が発生してもNISA以外の口座(一般口座や特定口座)の利益と相殺したり損失の繰り越しをしたりすることはできないのです。NISA以外の口座で損をしたときにNISAで発生した利益と相殺することも不可です。

さらにNISAには致命的な欠点があります。それは最長の投資期間である5年を経過したときの価格が株の取得価格になってしまうことです。

―具体的に解説していただけますか?

例えば100万円で投資した株が非課税期間終了時(5年を経過したとき)に80万円になっていたとしましょう。するとNISAではその株の取得価格が80万円になります。

【例:その後、株が90万円になったときに売った場合】
90万-80万=10万 10万円が利益となり、税金は2万円

90万円はもともとの取得価格100万円を下回っているにもかかわらず、NISAの形式上10万円の利益が出たとみなされ税金が取られます。まさに踏んだり蹴ったりではないでしょうか。

以上のように問題満載のNISAですから、私は初心者にも勧めません。そもそもこれでもうかるのは銀行や証券会社だけです。商品が元本を割ろうが配当が減ろうが彼らには手数料収入が入るのですから。要するにNISAは金融機関がもうかりたいがために売っている商品です。

―NISAは初心者に適した制度だと思っていたのですが......

そんな金融機関の片棒を担いでいるとも知らず、真剣にNISAのアドバイスをしているファイナンシャルプランナーをよく見かけます。本人には悪気がないのでしょうが、知らず知らずのうちに投資初心者を金融機関のカモにしてしまっているのです。私はそんなことにも気が付かない彼らを許せません。むしろ自分をだまそうと知恵を絞りに絞った人間にだまされるほうがまだいいとすら思えます。

年間100万円程度の貯金をするならば、半分は外貨MMF、残りは預金で十分です。手数料もほとんどかかりません。金融機関が勧めてこないゆえんです(笑)しつこいようですが長谷川家の家訓「銀行員の勧めるものを買ってはいけない」がNISAにも当てはまります。(了)