ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第40回「『タカラジェンヌはなぜ認知症になりにくいのか』・『公務員はなぜ認知症になりやすいのか』...文藝春秋スペシャル」

2014年3月25日 22:30

季刊誌「文藝春秋スペシャル"認知症に勝つ"」に掲載されました。是非ご一読ください。


■「感情豊かな生活」が認知症を遠ざける!
―先日、長谷川先生はある有名誌から取材を受けたそうですね

平成26年1月27日発売の文藝春秋スペシャル「認知症に勝つ」に6ページほど載せていただいています。有名な文藝春秋社から取材を受けたことは大変うれしかったです。しかも月刊誌でなく季刊誌なので、発売日から3カ月は店頭に並びます。もしよろしければご購入ください......といっても私に印税が入るわけではありませんが(笑)

―文藝春秋スペシャル「認知症に勝つ」はどんな内容なのでしょうか?

なかなか読みごたえのあるつくりになっています。まず認知症介護を経験した有名人のエッセイが12本紹介されています。その顔ぶれは元大阪府高槻市長だった江村利雄さん、作家の落合恵子さん、女優の秋川リサさん、タレントの荒木由美子さん、フリーアナウンサーの生島ヒロシさん、歌手の橋幸夫さんなど。これほどの有名人でも認知症介護は避けられない現実だということを感じました。

その一方で皆さんは「認知症介護で家族の絆が強くなった」と述べていらっしゃいます。かくいう私も両親が認知症になった祖父の介護をしていたことがきっかけで医師を志しました。そのおかげで現在の自分があるわけですから、認知症介護も悪いことばかりではないと思います。

もちろん「どんなに見方を変えても良いことなんか一つもない」と思う人もいるでしょう。しかし大変な状況の中でも、なんとか視点を変えて努力すれば成し遂げられることもあるのではないかと思います。

この他にも「予防と治療の最前線」「介護と福祉の最前線」「早期発見・早期治療への道しるべ」と3本の特集が組まれており、いずれも非常に勉強になる内容です。

―長谷川先生のページについて教えていただけますか?

私は新刊と同じく「公務員はなぜ認知症になりやすいのか」という題名で取り上げていただきました。しかし私はこの題名を自分でつけたわけではありませんし、少し誤解されやすいのであまり好きではないというのが正直なところです。私の言いたいことは、

・認知症は記憶を司る「海馬」より先に感情を司る「扁桃核」が委縮する。よって「感情豊かな生活」をすることが認知症予防につながる

・公務員は職種上自分の感情を押し殺す必要があるため、認知症になりやすい傾向がある

ということです。もちろん公務員でも感情豊かな方はいますし、公務員でなくても感情を押し殺してしまう人もいます。

とはいえ「さすが文藝春秋さんだな」と感じたのは、私の次に元タカラジェンヌの桝谷多紀子さんを取り上げていたことです。しかもその題名は「タカラジェンヌはなぜ認知症になりにくいのか」。私の取材記事と併せて読むととても面白い構成になっていました。

―桝谷多紀子さんはどんな方なのでしょうか

桝谷さんは宝塚歌劇団を退団後、大阪歯科大学に入学して歯科医となり、さらに60歳で神戸大学大学院に進んで老年精神医学を専攻したという素晴らしい経歴をお持ちです。そして「タカラジェンヌはなぜ認知症になりにくいのか」のなかでは、以下のことが研究結果として示されていました。

・宝塚OGは、物忘れの頻度が一般の方よりも低い
・芸歴10年以上のOGと一般の方を比較すると、OGの認知機能のほうが高かった
・芸歴が長いほど認知症にもうつにもなりにくいという傾向が示されている
・MRIの画像で海馬の容積を比較すると、OGのほうが一般の方よりも大きかった

桝谷さんは「宝塚音楽学校では厳しい音楽・芸術教育が行われていますが、舞台上でお客様から拍手を頂戴するとすべての苦労が報われる」ともおっしゃっています。これは究極の扁桃核刺激法です。日々の厳しい教育があるからこそ「快」が倍増するのでしょう。たとえその後の人生において苦難にぶつかったとしても、それを乗り越えたときの「快」をイメージしやすいので前向きに取り組めるはずです。まさにタカラジェンヌは扁桃核を刺激することが習慣化されているのです。

認知症をテーマに私と桝谷さんが一緒に講演しても面白いかもしれません。いずれ実現できればと思います。素晴らしい取材・出会いの機会をくださった文藝春秋社さんに感謝です。認知症に不安・関心のある方にお勧めの雑誌ですのでぜひ手に取ってみてください。(了)