ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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第32回「本の紹介:この国でこれから起こることが分かります...堺屋太一著『団塊の秋』」

2014年1月28日 22:30

単なる小説ではなく、今後の投資先、さらには新規ビジネスのアイデアまで満載の本です。


■信じるか、信じないかはあなた次第
―今回はどんな本を紹介していただけるのでしょうか?

堺屋太一さんの最新作『団塊の秋』(祥伝社)です。ちなみに以前ご紹介した堺屋さんの予想小説『平成三十年』が朝日新聞に掲載されたのは平成9年頃。その後17年ほど経っていますが、恐ろしいまでに的中しています。堺屋さんの洞察力には改めて敬意を表します。

現在、アベノミクスでちょっとしたバブルの雰囲気があります。しかし『団塊の秋』を読むと、安易にこの流れに乗ることの危険性が理解できます。下手をすると1990年代のバブル崩壊再現の恐れすらあります。そこで本書に描かれた数年の流れをピックアップしてみましょう。

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2009年、改革の嵐で民主党、2012年保守回帰の風で自民党。しかし大型予算と金融緩和政策で株高・円安を招いた保守政権も初めの1年は評判が良かったが、2年目からは批判続出。1ドル120円を超えたあたりから電気代、ガソリン代、食料品は値上がり。一方輸出は増えず、雇用も増えない。

2014年からは世界の景気が落ち込み、貿易量が伸び悩む。日本企業もばらまき予算と消費税引き上げに生じる駆け込み需要への対応に追われ、国際市場でのシェアを落としてしまった。

2015年には「間もなく財政支出も息切れする」との観測から、設備投資の火が消えた。何より解雇の規制が厳しくなり、正規社員を増やす企業が減った。

決定的だったのは2016年国債価格の暴落。金融機関は大打撃、貸し渋り・貸しはがしがひどくなった。信用保証協会の枠組みを広げ、ただ赤字企業を生かすだけで新規の起業を妨げている。

以前は自公の一強に、野党3党は3弱。今や分裂した自民2派と公明も合わせて6弱時代。明確な政策を推進できる強力政党なんかなくなってしまった。
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堺屋さんは小説の中で過去を振り返っている体で、私たちの未来を描いているわけです。特に「日本企業はばらまき予算と消費税引き上げに生じる駆け込み需要への対応に追われ、国際市場でのシェアを落としてしまった」などは、まさに現在の状況を言い表しています。

もちろんこれを信じるか信じないかは個々の判断にゆだねられています。しかし私は堺屋さんの予想に合わせてビジネスを展開したいと思っています。

私が平成10年頃に『平成三十年』を読んだとき、長期的には円安になること、レアメタルを含めた貴金属の高騰が起こることが理解できました。以来私は毎月ドルとユーロ、そしてプラチナと金を買い続けています。

外貨については円安になったときに十分利益が確保できるだけの資産ができました。プラチナと金も購入当時に比べるとかなり値を上げており、やはり一つの資産です。

―『団塊の秋』からは投資先を考えるヒントも得られるとか

その通りです。ヒントになりそうな部分をいくつかご紹介しましょう。

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政府の発表では年率2%だが、電気代、ガソリン代、食料品は5割以上値上がった。輸入比率の高いものは上がっているが、国産のパソコンや自動車は上がっていない。

金融緩和で物価上昇、円安効果となったが、コスト増(輸入原材料、電力料金、輸送費値上げ、最低賃金上昇)で輸出価格が下げられないため、輸出が伸びない。

人口減少、高齢化、財政が極度悪化、貿易も赤字、円も2012年のピーク時の半値以下。金融緩和で地価が上がったのは都心のごく一部。

80年代のレーガノミクスで製造業はダメでも新産業が興った(情報産業、IT技術、娯楽観光)。この大胆な自由化のおかげでアメリカが超大国であり続けている。
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以上のような状況を堺屋さんは描いています。

投資先としては外貨、特にアメリカドルはこれからも有望のようです。今後もインフレ基調が続くようですが、だからといって国内の不動産には安易に手を出さないほうがよさそうです。

堺屋さんは悲観的なビジョンだけでなく、有望なビジネスについても言及しています。

・生活保護者の増加にともない、生活保護者専門の賃貸チェーン医院が大盛況

・高齢者に適した働くシステム(月10万円貰える仕事の提供)

・整理屋(高齢者の遺した家具、什器、衣類を片づけ、売る仕組みを持つ専門業者)

・2020年代に再編の嵐の中にあるのが、医療と介護と学校。その中で戦後体制を維持している業界がマスコミ

・遊休農地や廃業ゴルフ場などを借用して、太陽光発電パネルを並べた発電所。その管理を請け負うビジネス

みなさんもこうした発想を生かしてみてはいかがでしょうか。単なる小説ではなく、今後の投資先や新規ビジネスのアイデアまで満載の『団塊の秋』はお勧めです。(了)