大人も必聴!中高生への講話「夢は叶わない!?」の内容をお話しています。
■生徒たちだけでなく大人にも通じる話です
―長谷川先生は先日、中高生を対象に講演なさったそうですね
私は年間50回ほど講演をしていますが、中高生を相手にするのは初めてでした。場所は岐阜県多治見市の多治見西高等学校。その「未来創造講話」に呼ばれたのです。こちらは中高一貫校なので中学生も参加していました。
とはいえ私は「頑張れば夢は叶います」なんてちんけな事は言いたくありません。そこで思い切って「夢は叶わない!?」という演題でお話しすることにしました。今回のタイトルにある「言葉は汚いが、真実です」は私の話を聞いたある生徒の感想です。そんなに汚い言葉を使った覚えはないのですが(笑)なかなかうまい評なので使わせてもらいました。
―壇上で生徒たちを前にしたとき、どんな印象を受けましたか?
中学1年生から高校3年生までという年齢は、想像以上に幅が広いと感じました。しかし我が家には高校3年生の次女と中学1年生の三女がいます。そう考えると少し気楽になりました。
さて、さきほど「夢は叶わない!?」という演題にしたと言いましたが、もちろんこれは逆説的な表現です。夢を叶えるためにはいくつかの理屈があり、そのためには日々の小さな行動・考え方が大事だということをお伝えしたかったのです。
まず私は先生を通して「当日はメモすることがありますから、必ず筆記用具を持って参加してください」と伝えてもらいました。案の定手ぶらでやってくる生徒がいましたが、そんな子には「事前に連絡されているのに、筆記用具を持ってこない人はそれなりの人生しか送れませんよ!」と先制攻撃です。これはかなりきつかったらしく、自分の将来が少し不安になったという感想もちらほら。彼らは純粋な年齢なのであまり言いすぎてはいけないなと私も後で反省しました。
講演後は生徒にアンケートを配布し、印象に残ったことを三つ答えてもらいました。その中で上位になったものをご紹介します。
・夢を叶えるためには基礎学力が必要
生徒のみなさんはこれからいろいろな人と出会います。だから人の話を聞くときはメモをとり、その内容を後で振り返ること。さらに自分が聞いたことを人に伝たり文章でまとめたりするようにとお話ししました。復習すると、その記憶は長期にわたって脳に保存されるからです。この話を聞いた生徒や先生方が必死にメモをとっている姿が印象的でした。
・世の中お金がすべてではない!......ことはない
世の中には大して税金も納めない「お金に執着がない人たち」が多いことを話しました。しかし納税は最大の社会貢献であるという話は、彼らにはまだ難しかったようです。
一方お金があれば時間的および精神的自由が手に入り、自分の正義を貫くこともできるという話については「よく理解できました」と書いてくれた生徒がいて大変うれしかったです。
・人は見かけが大事。人は思いのほか、外見で判断している
「メラビアンの法則」によると、人が初対面の人物を認識するときには視覚情報(55パーセント)、聴覚情報(38パーセント)、言語情報(7パーセント)に頼っているそうです。
もし冴えない外見で話し下手な先生がいたら、たとえ授業の内容がよくても生徒はつまらなく思うでしょう。だから自分の身なりに気を配ること、外見を武器にすることは大切なのです。この例えには生徒たちもうなずいていました。
ちなみに私はこの講演にジャケットとパンツといういでたちで臨んだのですが、これもスタイリストさんと練った戦略です。スーツにネクタイだと学生からは遠い存在になってしまうので、できるだけ親しみやすい印象になるよう心がけました。
・資格、知識が武器になる
資格試験に通る方法を伝授しました。「試験に合格するには問題集から勉強すること」「数学は暗記科目」など、私にとっては当たり前のことが新鮮だったようです。
・最低限の生活習慣として、早起きは重要である
こんなことがアンケートでは2位になりました。もちろん単純に「早起きは大事だ」と言っただけでこの結果になったわけではありません。「できる経営者は総じて早起きである」「朝に仕事をすることの効率性」「自分で起きられない人には甘えがある」といったことを指摘しました。早起きは夢を叶えるための必須条件であると理解していただけたようです。
・タバコを吸う人間にはなるな!
これがアンケートの1位です。「私がビジネスで成功したのは喫煙者を仲間に入れなかったからである」「タバコを吸う人は不平不満が多く、社会的責任感が欠如しているきらいがある」「世の中はタバコを吸わない人たちによって動かされている」「タバコを吸う人の平均年収は低い傾向がある」などの持論が共感を呼んだようです。
実はこの話の前に、生徒が一斉にある先生へと視線を向けました。内心「まずいな」とは思いましたが、そんなことでめげる私ではありません。生徒のみなさんには自分の将来のために体を大事にしてほしいのです。さらに「タバコを吸うような奴は、人間の〇〇だ!!」と、とどめを刺したら大喝采でした(笑)
そして最後に予定外でしたが質疑応答の時間を設けました。意外にもすぐ手が挙がったので「もしや先生が用意したサクラでは?」と思ってしまいましたが、いずれも素朴で素敵な質問でした。
―どんな質問だったのでしょうか?
「私には夢があるのですが、どうしても人には話したくないんです。これについてどう思いますか?」などです。なんともいじらしい質問ではありませんか。かく言う私も学生時代、自分は医者になるつもりだとは誰にも言いませんでした。今でこそ言いたい放題の私ですが、そんな時期もあったのです。だからそれは別におかしなことではないとお答えしました。
80分という長時間にわたって、痛いほどの視線を浴びながら講演しました。生徒のみなさんはとても一生懸命で、それに負けないよう私も本当のことをお話しできたと思います。本当に多治見西高等学校が大好きになりました。こんなに素晴らしい機会を与えてくださった学校関係者の方々に感謝です。(了)