子どもの頃に暮らした家族との旅行で、リフレッシュしてみてはいかがですか?
■親孝行したいときには親はなし
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?
「親子旅行のすすめ」がテーマです。ただし私がいう「親子旅行」は、いわゆる元家族と一緒に行く旅行のこと。
みなさんの年齢によって違いがあるとは思いますが、多くの方は結婚や就職を機に親元から離れていることでしょう。もしくは自分は親と一緒にいても、兄弟の誰かは家を出ているのではないでしょうか。そこで私はみなさんが子どものころに暮らした兄弟・親御さんとの親子旅行をお勧めしたいと思います。
この親子旅行のポイントは、自分や兄弟が結婚していてもその配偶者や子どもは連れて行かないこと。なぜなら配偶者はみなさんの親御さんや兄弟に、みなさんの親御さんは祖父・祖母として孫に気を使うことになるからです。
―長谷川先生はどんな家族旅行をなさったのですか?
平成25年7月、両親と姉と私の4人で三重県の長島温泉「ホテル花水木」に行ってきました。私も姉も結婚して子どもがいますから、両親、孫、それぞれの配偶者を含めた旅行はしたことがあります。しかし元家族4人だけでの旅行は実に25年ぶり。この旅行を通して自分の性格の原点は親子関係にあると痛感しました。
今回は土曜日の午後から日曜日にかけての行程でした。まず13時20分に名古屋駅で4人が合流します。この20分というあたりが微妙です(笑)
そしてチェックイン可能な14時ジャストに現地到着。もっとも早い夕食時間である17時30分に予約し、それまで各自が温泉や昼寝で時間をつぶします。
部屋でゆっくり90分の夕食を楽しむと、2回目の温泉に入ります。20時からは2人ずつマッサージを受けました。私はマッサージ後にもう一度温泉につかり、22時30分に部屋に戻ってみると既に真っ暗。父も母も寝ています。
ちなみに父はイビキと夜間のトイレのため、1人で隣の6畳間で寝ています。私と姉も電気やテレビをつける気になれず、一緒に就寝しました。こんなに早く寝たのは久しぶりです。
翌朝6時に起床すると、父は散歩、母は入浴を済ませていました。その後7時に朝食をとり、お土産を購入。母と姉は別の予定のため11時に名古屋駅から東京に向かいました。これら一連の行動をまるで軍隊のように親子4人が淡々とこなしていくのです。
―みなさんずいぶん自立してらっしゃるのですね
父は昭和10年生まれですが、旅行の準備、到着後の荷物の管理などを母に依存することなく自分で行っている点には感心しました。おそらく母が長年かけて仕込んだのでしょう(笑)
確かに我が家は、私が物心ついたときからみんな自分で起床していました。そのためテレビや映画で母親が夫や子どもを起こすシーンを見て不思議に思ったほどです。小学校の頃から基本的に自分のことは自分でしていました。
最近は受験でホテルに泊まる子どもを起こすために付き添ったり電話したりする親がいるそうですが、私からすると考えられないことです。
この習慣は大人になってからも随分助けられました。私は朝6時からの会議が月に4回ほどありますが、まったく苦になりません。
会議のたびに寝坊してくる経営者を見ると、哀れにさえ感じます。もしかすると私の母はものすごく有能なマネージャーだったのかもしれません。改めて感謝です。
もし第三者がこの4人の旅行に加わったとしたら、きっと疲れ果ててしまうでしょう。しかし名古屋弁でいう親子4人の「安気(あんき=気楽)」な関係では、かえって心地良いのです。おかげで心身がリフレッシュしました。
―今回の家族旅行を思い立ったきっかけは何ですか?
私が尊敬する会計士の先生から勧められたことです。先生も以前親子旅行をなさったのですが、そのとき既にお父様を亡くされていました。先生は「父が生きているうちに楽しい旅行を実現してあげたかった」「君もお父さんが元気なうちに行っておきなさい」とおっしゃってくださったのです。
親子旅行には両親の健康、子どもたちの成長、配偶者の理解などが必要です。もしみなさんが「こんな家族旅行もいいな」と思ったら、今すぐ実行してください。先延ばしにしているうちに状況が変わってしまうかもしれません。
我が家ではこれからも年1回の恒例行事として続けていくつもりです。「安気な親子旅行」は本当にオススメです。(了)