ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第6回「成功する人は『20:80』の2乗?」

2013年7月16日 22:30

講演や懇親会に参加して、行動を起こす人は20%。そのうち結果に結びつく人は20%。参加者の2%しか成功できないのです。


■若き経営者たちに贈る六つのアドバイス
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

私は現在47歳なのですが、取引している銀行の担当者や製薬メーカーの支店長などに年下が増えてきました。これまでもっぱら年上の方とばかり接していたので、自分も年をとったなあと感じさせられます(笑)そんな矢先に30代を中心とした若い経営者たちと交流する機会があり、そこで私が気になった点をいくつかご紹介したいと思います。

①もっと名刺を活用しよう
私の名刺は写真とプロフィールが載った二つ折りで、少し凝ったつくりになっています。名刺は自分を表現する大事なアイテム。この名刺をきっかけに新しい出会いが生まれたこともたびたびあります。

ところがせっかく名刺を渡したのに、すぐしまいこんでしまう人がいます。そんなときは相手のそっけなさにがっかりさせられます。反対に名前と所属しか書かれていない名刺をもらい、話の糸口をつかむのに苦労することも。これも名刺を活用できてないケースだと思います。また医師にも多いのですが、名刺すら持たないことは論外です。

実をいうと私は2種類の名刺を持っています。先ほど紹介した二つ折りタイプと、ごく簡単な通常タイプです。これを相手によって使い分けるのです。

例えば企業のイベントなどに行くと、上役から末端の社員までぞろぞろ出てくることがあります。失礼な言い方になりますが、決定権を持たない人と何人会っても無駄です。そんなときは簡易版を使わせてもらいます。起業していない人や瞬間的に「名刺の無駄」と感じた人も同様です。私から簡易版を受け取った方は、自分に何が足りなかったのか反省してみてください(笑)

②「できる経営者」はメモ魔である
優秀な経営者の特徴として、少しでも役に立ちそうな情報を耳にしたらすぐメモをとることが挙げられます。それはお酒が入ったくだけた席でも関係ありません。話す側としても自分の言葉に熱心に耳を傾ける人には好感を持ちます。一方、ただうなずいているだけの人を見ると「あなたは一度聞けば全部覚えられるほど優秀なのですか?」と皮肉の一つも言いたくなります。

最近は「相談に乗ってほしい」と私に依頼する人も多いのですが、そんな時でさえメモをとらない人がいて腹が立ちます。そういう人は情報を無料だと考えているのでしょう。大事なことを聞き逃したり何度も同じ質問をしたりしても悪びれません。そこで私はやむを得ず相談業務にはお金を頂くことにしました。

こうすれば相談を持ちかけておきながらメモすらとらない人は去っていきます。一方やる気がある人はお金を払っても相談に来ますし、払った金額以上の情報を得ようと必死です。「困ったときはいつでも聞ける」などと甘く考えてはいけません。

③「自分をどう見せたいか」という戦略に基づいて服装を選ぼう
若いうちは服装にお金をかける余裕がないことは理解できますが、身なりに無頓着だと損をするのではないでしょうか。

成功している経営者の多くはスタイリストやファッションアドバイザーを付けています。彼らは「自分をどう見せるか」も重要な戦略だと考えているからです。自分が服装に無頓着だからといって、他人もそうだと思ってはいけません。

男性の中には奥さんが選んだ服を着ている人もいるようです。しかし奥さんがプロのスタイリストである以外はやめるべきでしょう。なぜならその男性の社会的地位にふさわしい服装や効果的な見せ方などは素人にはわからないからです。ちなみに私もスタイリストを付けており、その効果を実感しています。

④最低でも月に2冊は本を読もう
正直なところ、本を読まない人とは話をしたくありません。いくら忙しいといっても、話題の本のタイトルやあらすじぐらいは把握しておいてほしいものです。最近は有名人の書評がメルマガなどで読めます。定期的に目を通しておけば時代の流れについていけるはずです。そして人から本をすすめられたら必ずメモをとること。今はインターネットで注文することも簡単です。「本屋に行ったのですが、売っていなくて......」などは最低の言い訳。れっきとした社会人なら、話題の本の話ぐらいできなければいけません。また仕事に追われるだけでなく、月に1本映画を観る余裕を持つことも大事です。

⑤お酒とたばこはやめよう
懇親会で飲みすぎる人は要注意です。参加者の中には冷静に周囲を観察している人もいます。どんなときも緊張感を失ってはいけません。

そして「たばこを吸う人は成功しない」。私はかなり厳しい意見を持っています。懇親会の参加者には女性もいます。たばこのにおいが服や髪について不快なことはもちろん、その後の手入れも大変でしょう。平気でたばこを吸う人は周囲に対する配慮が足りないのです。そんな人が「お客様のために......」などと言う姿を見ると、本当にあきれてしまいます。

⑥帰宅したら1日を振り返り、学んだことをまとめよう
みなさんは「20対80の法則」を知っていますか? これはパレートの法則とも呼ばれ、ごく簡単に説明すると「あるものごとの8割は2割のものによって生み出される」という説です。

しかし私は「20対80の2乗の法則」で世の中が動いているように思えてなりません。例えばある講演を聞いたあと、実際に行動を起こす人が20パーセント。しかもその20パーセントのうち、さらに20パーセントの人しか成果を出せない。つまり参加者の4パーセントしか成功できない計算です。

だからこそ懇親会のあいさつでも「寝る前に今日1日を振り返り、学んだことをまとめてください」と述べました。リラックスした雰囲気に水を差したかもしれませんが、せっかくの機会を無駄にしてほしくなかったのです。

しかしよく考えてみると、今回の参加者は20名程度。その4パーセントは0.8人です。成功する人はそれほど少ないということでしょう(笑)とはいえこれまで述べてきた六つのアドバイスをきちんと実行すれば、成功に近づくことうけあいです。(了)