ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第3回「そうだ、税金もスマートに払おう!」

2013年6月25日 22:30

納税は究極の社会貢献です。払う時も、計画的にスマートに。


■けっこうハードな納税スケジュール
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

サラリーマンの方はあまりピンと来ないかもしれませんが、納税にはスケジュールがあります。

まず個人事業主は確定申告をして3月15日までに所得税を納付します。さらにその年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する予定納税という制度があります。

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【予定納税の納付額と納付期間】
予定納税基準額の3分の1を第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納める。
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つまり所得税だけでも3月、7月、11月と3回納めるのです。

また前年度の所得に応じて、住民税の通知が6月に来ます。額が少ないうちは一括で支払いますが、多くなると4回に分けます(納期は6月、8月、10月、1月となっているが市町村によって異なる)。先ほどの所得税と合わせると1年のうちに7回納税することになります。

そのうえ不動産を所有している人は固定資産税を納めます(納期は年4期に分け、市町村ごとに条例で定められている)。自動車を持っている場合は4月1日時点の所有者に対して都道府県から送付される納税通知書により5月31日までに納めます。

―ほとんど毎月納税しているのですね

ちなみに法人は年に1回以上決算を行って確定申告をしなければなりません。法人が納めるべき税金には法人税、消費税、事業税、住民税があります。このうち法人税、事業税、住民税は会社の所得に対する税金。消費税は商品やサービスの売り上げ先から預かった税金で、損益に関係なく納税します。

会社が資産を保有している場合は、固定資産税と自動車税が発生します。また会社がそのつど支払う税としては印紙税や登録免許税などがあります。

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【印紙税】
領収書や契約書などを作成したときに課せられる国税。文書に収入印紙を貼り付け、消印することによって納税する。

【登録免許税】
会社設立、本店移転などの商業登記や不動産の移転などに伴う不動産登記を行う場合に課せられる国税。
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個人であれ法人であれ、経営者は年中税金を払わなければならないので十分な現金を準備しておく必要があります。私は納税専用の銀行口座を作って支払っています。

ところで「いきなり売れた芸能人が稼いだお金を無計画に使ってしまい、翌年税金を払えなくなった」という話を聞くことがありますが、それはこのような納税スケジュールを理解していなかったことが一因です。

■収入ではなく納税額を目標にしよう
―仕事が忙しいと、納税をおろそかにしてしまいそうです

情けないことですが、医師会の広報誌の3月号には毎年短期融資の案内が掲載されます。これは納税用の資金に困っている医師が多いことの証明だと思います。

脳科学者として有名な茂木健一郎さんの件も驚きでした。当時の記事を以下に引用します。

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2009年(平成21年)11月、3年間でおよそ4億円の所得の申告漏れを指摘された。追徴税額は1億数千万円。2、3年前に税務署から申告を求められたが申告せず、税理士に税務処理を依頼することもなかった。

茂木自身は無申告となった理由として「多忙な仕事に追われた結果、増加する印税や講演料等の雑所得の管理との両立ができなくなり、税務処理を依頼する税理士を探す暇も取れなかった」と取材に答えている。
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あれだけ立派な仕事をしている茂木さんにしてはあまりにもお粗末です。仕事が忙しいのは他の人も同じ。申告漏れの理由にはなりません。

いいかげんな経理処理をして評判を落とした有名人はたくさんいます。稼いだ分に応じてしっかり税金を払う。この気持ちが大事です。

―税金を払うことにマイナスイメージがつきまとうのはなぜでしょうか?

そもそもは「所得を申告し、きちんと納税することは立派なこと」「納税は究極の社会貢献である」と教育していないからだと思います。

そこで私は「前年より多く税金を納めること」を自分の目標にしています。結果的には収入を増やすことと同じですが、ずいぶん気持ちが違います。

収入を増やすことばかりに熱中すると、あやしげな節税テクニックやコンサルタントに引っかかってしまうおそれがあります。最近でも元プロ野球選手が脱税と認定され騒動になりました。

もし「納税は究極の社会貢献」と理解できていれば、こんなことにはならなかったでしょう。経営者であればなおさら、税金は計画的かつスマートに払いたいものです。(了)