ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第116回「素直な行動が『ツキ』を呼ぶ」

2013年3月 5日 22:30

「ツキがある人」は「すぐに行動に移す素直な人」といえます。



■意外と多い! 「素直」な顔して「頑固」な人
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

「素直な行動がツキを呼ぶ」というテーマです。
最近、ブログやポッドキャストで私が紹介したことを実行してくださる方が増えてきました。もちろん私はみなさんに強要するつもりはまったくありません。しかしそういう方が少なからずいらっしゃるのです。

例えばヘビースモーカーで大酒飲みだった経営者の友人。私は彼に会うたび「そんな生活をしていたら65歳までに死んでしまいますよ」と口酸っぱく言っていました。自分でも失礼な言い方だったと思います。しかしながら彼は2年ほど前から厳格な禁煙とアルコール制限をはじめ、見違えるほど顔色がよくなりました。

ポッドキャストで「5年日記」を紹介したときは、3人の方が「さっそく日記帳を買って書き始めました」と報告してくれました。私が推奨している「戦略的検診術」を素直に実行し、病気を早期発見した経営者の方もいます。

―「戦略的検診術」とは何ですか?

① 大腸ファイバー
② 胃カメラ&腹部エコー
③ 胸部CT
④ 頸部エコー&頭部MRI&MRA
⑤ 一般的な血液検査
⑥ 心臓3DCT

1年の間にこれらの検査を分けて行う方法です。

先ほどの経営者の方にはなんの症状も出ていなかったのですが、検査してみると心臓の3本の血管のうち、1本が75パーセントも狭窄(きょうさく)していることが判明しました。「早期発見できたのは先生のおかげです」と大変感謝され、とてもうれしく思いました。

―「糖質制限食」も紹介されましたが、反響はありましたか?

これはみなさんの関心が高く、実際に体重を減少させた方は10名以上になります。ただしすべて男性でした(笑)ひょっとすると「糖質制限食」は女性に合わないのかもしれません。ここでも新たな気付きがありました。

私が紹介した本を購入し、感想を教えてくださる方も多いです。私も他の人が熱心にすすめる本には一読の価値があると考え、進んで読むようにしています。

―素直になると、いいことがたくさんありますね

私が定義する「素直」とは、良いと判断すればすぐ行動に移す人のこと。ただ静かに話を聞く人ではありません。

ひととおり話は聞いてくれるものの、決して行動に移さない頑固な人は結構います。残念ながら外来を訪れる患者さんにも多いです。

繰り返しになりますが心臓の血管狭窄が見つかった方は、すぐ行動したことが素晴らしい。現に75パーセントも狭窄していれば、突然死してもおかしくないのですから。これをきっかけに生活を改善して長生きしてほしいものです。

■努力の末の成功体験が「素直」な人をつくる
―まさに「禍(わざわい)転じて福と為す」ですね

その通りです。私は「ツキがある人」と「すぐ行動に移す素直な人」は同義語だと考えています。すぐ行動に移すと新たな出会いが生まれ、自分の世界が広がる。それが周囲の人にはツキがあるように見えるのです。

そして素直な人たちはたいてい基礎学力を伴っています。ここで言う基礎学力とは人の話を聞く力と、本を読んで理解する読解力のことです。

それらを測る指標としては、学歴や資格の有無、スポーツ歴などが挙げられます。どんな分野でも、この基礎学力なしに成果を出すことは難しいのです。

ちなみにある有名企業の採用担当者も「当社は何と言われようと一流大学出身者を採用します。なぜなら彼らは受験勉強の努力が報われた成功体験があるからです」と言っていました。反対意見は多いでしょうが、一理あると思います。

努力の末に成果を出した経験がある人は、その後も素直な行動が習慣化します。それがさらにツキを呼び込むのです。また彼らは決して社会に対する不平・不満を口にしません。「成功は他責(周囲の人たちのおかげ)、失敗は自責」を貫いています。

一方、成功体験がない人は「どうせ何をやっても無駄だ」などと考えがち。自分の人生に変化を起こすことができないのです。

残酷かもしれませんが、こんなツキのない人は避けるに越したことはありません。そうすればツキがある人たちと一緒にどんどん上昇していけるでしょう。この流れに加わるためには、良いと思ったら素直に実行することが大事です。(了)