ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第103回「本の紹介:エリックカロニウス著『なぜビジョナリーには未来が見えるのか?』

2012年11月27日 22:30

先見の明を持つ成功者、いわゆるビジョナリーと普通の人々との違いを、脳科学の知見をもとに解明した本をご紹介します。


成功者は特殊能力の持ち主ではない
―どんな本を紹介していただけるのでしょうか?

エリック・カロニウスさんの『なぜビジョナリーには未来が見えるのか?』(集英社)です。本書はビジョナリー(先見の明を持つ成功者たち)と普通の人々との違いを脳科学の視点から解明した興味深い一冊です。今回は私の印象に残った言葉をいくつかご紹介しましょう。

①「脳は絶えずパターンを探し求めている」

人間の短期記憶は一度に七つ程度のことしか保持できません。そこで脳は膨大な情報に対応するためものごとを「パターン化」し、瞬時に情報処理をします。

私たち医師も、大勢の患者さんを症状別にパターン化して診察を効率化しているので非常に納得しました。一般の方にとっても、忙しい毎日や煩雑な作業の中にパターン化できることを見つける力はとても大事です。

②「ビジョナリーはものごとの本質を見抜く能力を持っている」

ビジョナリーと呼ばれる成功者は、世紀の大発見をした人たちだと思われています。しかし本書によると、彼らは「普通の人たちが見落としているものを見つけられる人たち」だそうです。

そのため成功の秘訣を尋ねても、「なぜ成功したのかわからない」と答える人がほとんど。彼らが世界を変えるほどの偉業を成し遂げたのは、他人の目に見えないものが見えるからではありません。他人が見落としていることに気付くアンテナを持ち、それをビジネスに使ったのです。成功するために新しいものを発見する必要はないことがわかります。

③「想像力とは頭の中で視覚化すること」

どんなビジネスでも最初は空想から始まります。空想と現実を行き来しながら、細かい部分を仕上げていくのです。これを人間の脳に置き換えると空想は右脳、細かい部分の仕上げは左脳の働きです。

創業者になる人は夢を描くことが得意な傾向がありますが、それを実現する仕組みをつくることは苦手です。反対に夢を描くことは苦手でも、仕組みをつくることが得意な人もいます。

これは優劣ではなく、得意・不得意の違いです。その上で自分はどちらのタイプなのかを考え、苦手な分野は人に任せることが重要です。ビジネスを大きくする人はこの点をよく理解しているようです。

④「直観という無意識の声に耳を傾けなさい」

意識には顕在意識と潜在意識の二つがあります。顕在意識はものごとを知覚したり、会話やできごとを思い出したりする意識です。一方潜在意識は無意識とも呼ばれ、自覚はできないもののそこで多くの決断がなされています。

本書によると「人に命令しているのは無意識」で、「顕在意識は報道官の役割(発表するだけ)」とあります。

人間は進化の過程で、ある時点を境に顕在意識で決断を下すようになりました。しかし無意識で意思決定をしていた時代のほうがはるかに長いのです。そのため「複雑な決断を下すときは無意識に任せるべき」と言っています。確かに直観が結果的によい結果をもたらすことも少なくありません。

⑤「共有力が重要、自分のビジョンは他人をも巻き込む」

共有力は他人を巻き込む力です。感情は人へ感染します。本書によると、幸せを感じている人がそばにいると幸せを感じる確率が9パーセント上昇するそうです。やはり以前お話ししたように、良い仲間と交わることが大切です。

⑥「運という偶然を自分のものにする」

本書はビジョナリーのような勝者と敗者を分かつ要因は「運」と締めくくられています。しかしこれは宝くじのようなものではなく、自分で引き寄せて捕まえなければいけません。そのためにはタイミング、場所、時間が大事です。常に前向きに行動し、良い仲間に囲まれていれば自然と運を捕まえることができます。

―脳科学がテーマでしたが、身近なことが取り上げられていましたね

脳の働きは日頃の考え方や行動の仕方、友達のつくり方にも通じています。堅苦しい話と思いがちですが、すぐに実行できることも多いのです。今回お話ししたことが本書を手に取ったみなさんの参考になれば幸いです。(了)