ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第98回「プロの力3【トレーナー】」

2012年10月23日 22:30

パーソナルトレーナーに指導していただき、効率の良い運動をすることをオススメします。


健康管理は経営者の大切な義務の一つ
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

「自分が苦手な分野はプロの力を借りる」というテーマのもと、これまでの2回はスタイリストとプロの講演家をご紹介しました。今回は個人的に運動の指導をしてくれるパーソナルトレーナーについてお話しします。

医師はよく患者さんに運動をするようにすすめます。なぜなら運動する習慣があると、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病がかなり改善されるからです。もちろん他の病気にも効果があります。しかし多くの人は運動する習慣がなく、外来を訪れる患者さんの数も一向に減りません。病気に縁がない30代の人たちですら、80パーセント以上は運動する習慣がないそうです。

とりわけ経営者はスタッフ、家族、お客様への責任があるのですから、運動する習慣を持って健康を維持すべきです。ただしやみくもに運動しても非効率であるばかりかけがをする恐れもあるため、専門家の指導を仰ぐことが大切です。

―どのような運動をすればいいのでしょうか?

「有酸素運動」「筋力トレーニング」「柔軟体操」の三つです。有酸素運動で代表的なものはウォーキングですが、ただ歩いているだけではあまり効果はありません。ウォーキングはあくまで運動のスタートと考えましょう。

ちなみに私は週に2回、5~6キロのジョギングをしています。残りの5日間はウォーキングです。さらに筋力トレーニングは週に3回。柔軟体操は毎日起床時と就寝前に行っています。

―多忙な長谷川さんがそれほど運動しているとは驚きです

運動したあとの心地よさをイメージすると、どうしてもやりたくなるのです。お酒が好きな人が毎日飲むのと同じく、自分が好きなものは続けられるのだと思います。

とはいえ最初にパーソナルトレーナーの診断を受けたとき、「長谷川さんは走っていると右ひざが痛くなりませんか?」と言い当てられてしまいました。どうも私は足の裏への体重のかけ方が間違っていたようです。そのため歩いたり走ったりするときのバランスが悪く、さっそくトレーナーの指導のもと全身の動的ストレッチをしました。

さらに私の体に合った専用ソールもつくりました。このソールを使うと体重移動がスムーズになり、ジョギングのときにきつかったポイントに差し掛かっても痛みが発生しません。おかげでますます運動が楽しくなりました。

私のトレーナーは「すべての運動の基本は下半身である」と考えています。社交ダンスのプロや野球をしている子どもたちにも体を調整するストレッチを指導しているそうです。たまに脚にたくさん湿布を貼ったランナーを見かけますが、トレーナーに自分の癖をチェックしてもらったほうがいいかもしれません。

ところで変形性膝関節症に悩む高齢者の女性に、医師はよく体重を減らすよう指導します。しかし最近は外反母趾が主な原因だと言われていることをご存じでしょうか?

体重のかけ方が間違っていると外反母趾になり、ひいては膝が変形してしまうのです。そこで先ほどの専用ソールで矯正すれば、変形性膝関節症を予防・改善することができます。

実は私の義理の母と、その孫にあたる私の娘も外反母趾の傾向があるのですが、ソールを使用したところ非常に調子がよくなりました。ソールは幅広い年齢層に有効なのだと実感しています。

Foot to Brain......足と脳はつながっている!
―有酸素運動はどれぐらいの頻度で行うとよいのでしょうか?

理想は1回30分ほどの有酸素運動を週に2、3回行うことです。それが難しいのなら、できるだけ車に頼らず歩くことから始めましょう。東京在住の人は通勤の際に公共交通機関をよく利用するので、思っている以上に歩いているというデータがあります。ところが私の地元である愛知県の人たちは、よく車を使うのであまり歩きません。かくいう私も車で通勤していますので、1日に3000歩しか歩かないこともあります。だからこそ意識してトレーニングしているのです。

―筋力トレーニングについてはいかがですか?

筋力トレーニングは専門家の指示のもと、適切な負荷で行うことが大事です。また筋肉の回復には48時間程度かかるので、トレーニングは毎日行わないこと。週に2、3回がベストです。

ちなみに鳥越俊太郎さんは「女性は裏切るが『金』と『筋』は裏切らない」という名言をおっしゃっていました。もちろん「金」はお金、「筋」は筋肉です(笑)

あまりトレーニングにのめり込むと、筋肉が固くなってしまうので注意してください。柔軟体操やストレッチで筋肉をほぐすことも同じくらい大切です。

―スポーツ選手のようにトレーナーをつけて運動すると、いっそう心身が磨かれる気がしますね

その通りです。それに自分だけで運動しているとどうしても癖がつきます。私も月に1回、トレーナーの指示のもと体のバランスを調整するストレッチを行ってベストコンディションを維持しています。

また下半身を鍛えることは認知症予防にもつながります。人は足が衰えると認知機能も低下してしまうからです。少し格好いい言葉で言うと"Foot to Brain"(足から脳へ)ですね。今後はトレーナーと認知症専門医の私がコラボレーションし、新しいサービスを提供するという構想もあります。期待していてください。(了)