ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

日経健康セミナー21「ストップ ザ ボケ!~がんばらない介護を実現するために~」5

2012年10月 2日 22:30

日経健康セミナー21福岡講演の模様をお届け。今回は「認知症にならないためには」「まとめ」です。


二つの壁を乗り越えよう!
―今回は「認知症にならないためにどうすればいいか」をテーマにお話しいただけますか?

まずは60~70代で脳梗塞や脳出血による血管性認知症にならないことです。そのためには生活習慣病の三大疾病(糖尿病・脂質代謝異常、高血圧)を予防することが大切です。中でも高血圧は遺伝的要素が強いので、きちんと薬を飲みましょう。

ところが「先生、ある人が血圧の薬はあまり飲まないほうがいいと言うのですが」と訴える患者さんがいます。よくよく話を聞くと「ある人」は隣のおばさんだったりするのですが(笑)

「あなたは20年以上医師をやっている私のアドバイスと隣のおばさんのどちらを信頼しますか?」と聞くと「言われてみればそうですね」。こんなやり取りもしばしばです。

―いろいろな情報に振り回されないことが大切ですね

もちろん生活習慣病の改善で薬の量を減らすことも可能ですが、最初は医師の指示に従ってきちんと薬を服用することをおすすめします。

さて60~70代の壁を乗り越えたら、次は80歳前後でアルツハイマー型認知症の壁が出現します。ところでみなさんは「そのうちアルツハイマー型認知症の画期的な治療法や薬が出てくるだろう」と思っていませんか? 残念ながら今のところその可能性があるのは50~60代で発症する若年性アルツハイマーです。

そもそも80代のアルツハイマー型認知症は脳を使わなくなることが原因。認知症になる人たちは、総じてあまりにも刺激が少ない生活をしています。一日中誰とも口を利かず、テレビばかり見て過ごす......こんな生活を打破するには、つまらない気位やプライドを捨てていろいろなところへ出かけることです。

たとえ「あの人は落ち着きがない」などと言われても気にしない。何かに誘われたら断らない。どんどん外に出て刺激を受ける。私はこのような態度を「扁桃核を意識して生活する」と言っています。

刺激的な生活を楽しもう!
―扁桃核とは何ですか?

扁桃核は脳の奥深くにある快・不快を判断する部位で、記憶をつかさどる海馬とつながっています。認知症になった人の脳を見ると、扁桃核が先に委縮していることがわかります。

ある程度の年齢になると、「何をしても一緒だよ」などと言って感動することが少なくなります。これは一種の癖だと言えるでしょう。認知症になりたくないのなら、自分の生活スタイルを見直すこと。ぜひみなさんも積極的に快・不快を感じる生活を送っていただきたいと思います。

―改めて認知症予防に効果的なことをまとめていただけますか?

大別すると以下の三つになります。
①運動......ウォーキングなどの有酸素運動が脳の血流を増加させ、海馬の細胞も新生させる

②食事......適度なたんぱく質の摂取が重要。中部地方の伝統食「へぼ(蜂の子)」は純粋なたんぱく質=プロテインが取れる

③社会参加......人の誘いは断らない。機会があったら「死ぬまで働く」。必ずしもハッピーリタイアメントがいいというわけではない。いつまでも積極的な姿勢を失わないことが大事

ちなみに私が運営するデイサービスでは公文の学習療法を中心とした頭のリハビリと、体を使うパワーリハビリを行っています。運動機能が改善されると、認知機能障害にも効果があります。

もちろんそれで100パーセント認知症を予防できるわけではありませんが、進行を遅らせたり寝たきりの期間を短くしたりすることはできます。やはり人間は最後の最後まで努力したほうがいいのではないでしょうか。

最後に、この国は「申請主義=有益な情報を知っている人が得をする国」だということをもう一度お伝えしておきます。そのため自ら進んで知識を身に着けることが大切ですが、情報や各種手続きに精通している人と知り合いになっておくことも非常に有効です。みなさんももし困ったことがあれば遠慮なく当グループにお問い合わせください。(了)