ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

日経健康セミナー21「ストップ ザ ボケ!~がんばらない介護を実現するために~」1

2012年9月 4日 22:30

日経健康セミナー21福岡講演の模様をお届け。今回は「認知症の対応とは何か?」
「認知症とは?」についてです。


認知症の全体像をつかもう
―今回からは「ストップ・ザ・ボケ!~がんばらない介護を実現するために~」をテーマにお話をうかがいたいと思います

一介の開業医である私が誇れることがあるとすれば、認知症にはさまざまな段階があると理解していることでしょう。認知症は物忘れなどの軽度のものから、中核症状・周辺症状への進行を経て、ついには寝たきりになって亡くなるまでを含みます。

そもそも認知症には「医療的な対応」「介護的な対応」「社会的な対応」の三つが必要。たとえ医師から「○○という種類の認知症です」と診断されたとしても、それは「医療的な対応」が一部なされたに過ぎません。認知症は介護、社会的なサービスも駆使して対応することが大切なのです。

―認知症はどこで診察してもらえばいいのでしょうか?

一般的には

・神経内科
・精神科
・老年病科
・脳神経外科
・認知症サポート医

が挙げられますが、いずれも認知症が専門であるわけではありません。中でも認知症サポート医は課題が多く、十分な対応ができるまで時間がかかると思われます。

今のところ、ケアマネージャーや市職員から情報を得るなどして評判のいいクリニックを自主的に探し出さなければいけない状況です。

―できるだけ規模の大きい病院にかかったほうがいいのでしょうか?

いいえ、そうとは限りません。私の運営するクリニックは認知症患者さんを診察している数では名古屋の大学病院より多いです。小さなクリニックでも一生懸命認知症に取り組み、実績があるところをおすすめします。

早めの措置が明暗を分ける
―「物忘れ」と「認知症」を区別する方法はありますか?

昨日のお昼のメニューを思い出せないのは「物忘れ」で、食事したかどうかを忘れてしまったら「認知症」だという俗説があります。

しかし、私たち医師の役割は「物忘れ」の段階で認知症か否かを診断し、さらなる進行を防ぐこと。少しでも変だと感じることがあればすみやかに受診してください。安易な自己判断は危険です。

―認知症の中核症状と周辺症状について教えてください

中核症状とは、ものを覚え、維持し、再生する能力が衰えることです。「おばあちゃんたら、さっき言ったことをもう忘れてる......」などというときがそれです。

中核症状が進行すると周辺症状が出てきます。周辺症状とは、人格・性格変化、幻覚・せん妄、徘徊(はいかい)、暴力行為、過食・拒食・異食、失禁・不潔行為、睡眠障害、多動などです。

この段階で困り果てたご家族が患者さんを連れてくることが多いのですが、それでは遅いのです。何らかの兆候があったらすぐ医師に相談してください。

―認知症は早めの措置が大事なのですね

私は以前、「もっと早く認知症について知っておきたかった」と認知症患者さんのご家族に言われたことがあります。その方はかいがいしく義理のお母さんの介護をしていたのですが、ある日突然「あんた、私のお金を取ったでしょ!」とののしられ大変傷ついたそうです。

こんな言動も認知症の一つという知識があれば、いくらか余裕を持って接することができたでしょう。それだけで介護者の心理はずいぶん違ってくるのです。ぜひみなさんもこの機会に認知症に対する理解を深めていただきたいと思います。(了)