ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第85回「本の紹介『年収1億円思考& 年収1億円人生計画』江上治著」

2012年7月24日 22:30

保険代理店を運営している著者が、顧客から
学んだ「稼ぎ」の真実を書いている本を、詳しく
紹介します。



年収は20歳までに決まる?
―今回はどんな書籍のお話をしていただけるのでしょうか?

私もクライアントとしてお世話になっている江上治さんの著書『年収1億円思考』『年収1億円人生計画』(いずれも経済界)の2冊です。正直なところタイトルはあまりよくないと思うのですが(笑)極めて実直な内容です。

―著者のプロフィールを紹介してください

江上さんは保険代理店を運営し、有名プロスポーツ選手から経営者まで年収1億円超のクライアントを50名以上抱えるファイナンシャルプランナーです。これら2冊には江上さんが顧客から学んだ「1億円稼ぐ人の真実」が書かれています。

私は名刺交換する機会がよくあるのですが、保険代理店勤務の人が実に多いです。何しろ保険の営業職員と代理店勤務のスタッフを合わせると日本に100万人もいるのですから。

とはいえ、保険代理店に勤務している人が本当に自立した生活を送っているどうかは別問題。「この人を通して保険に加入してもいいのだろうか?」と不安を抱いてしまうことすらあります。

その点、江上さんは他の人とは比較にならないほどのパワーを持っています。本書にはそのパワーの源が書かれているのです。

江上さんは「年収800万円までの人と、1億円を超える人とは決定的に『稼ぐ考え方』が違う」と言います。しかもそれは15歳までの環境と20代の体験でほぼ決まるそうです。賛否両論あったそうですが、江上さんはその年齢までに

1 エネルギー量・欲
2 観察力・洞察力
3 伝統的価値観(礼儀・マナー)
4 ストレス耐性(執着心)
5 素直さ

が決定されるとしてゆずりませんでした。これについては私も同感です。近頃経営者の中にも「お金の匂いがしない人」が増えているようですが、日本経済の今後を反映しているのではないかと心配になります。

私は「お金なんてどうでもいい」と言う人を信じることができません。例えば企業が優秀な社員を育てたりいい待遇を与えたりするにはお金が必要です。もちろんお金がすべてではありませんが、だからといって軽んじる態度はいかがなものでしょうか。

江上さんとお会いしたとき、「長谷川さんはお金の匂いがする」と言ってくださいました。もしかすると医師の中には怒り出す人もいるかもしれません。

しかしこれは江上さんの最高の褒め言葉です。なぜならこの世の中では魅力がある人間に人や情報が集まり、それがお金につながるからです。ご本人から直接素晴らしい言葉をいただき、非常にうれしく思っています。

―これら2冊のタイトルからは想像できない意外な言葉があったとか

江上さんによると、経営者は早い段階でパートナー(配偶者)を選択するべきだそうです。私の周囲でも、成功した経営者は20代でパートナーを見つけている人が多いようです。

そしてパートナーは自分と正反対の性格の人を選ぶこと。夫婦がお互いに足りない部分を補い、決して離婚しないというあり方を理想としています。非常にまじめな考えではないでしょうか?

また、私が最も感銘を受けた言葉は「計画無くして自由なし」です。江上さんは自由を手に入れるには詳細な人生計画が必要だと述べています。さもなければ奴隷状態から脱することができません。

誰もが「自由になりたい、自由がいい」と願っています。しかし現実的には会社の指示に従わざるを得ず、時には自分の意志や社会的正義に反する行為に及ぶこともあります。

「自分がいなければ何も回らない」「病気になったら代わりがいない」という経営者も奴隷状態に陥っています。そこから脱却するには、ただちに自由へ向かう詳細な計画を立てる必要があるのです。

目先の利益に惑わされるな
―計画を立てる際に注意することはありますか?

江上さんは自由になるためには「代わりのきかない人間」になるべきだと言っています。そこでサラリーマンの中には「資格を取ればなんとかなる」と考え、税理士や司法書士を目指す人も多いでしょう。

ところが意外にも士業は「代わりがきく」職業であり、年収にも上限がある。資格に固執すると危険です。さらに税理士や司法書士を必要とする法人のマーケットが縮小傾向にあることを考えると、あまり有望ではないと思います。

もし士業で自由を獲得したければ、自分が「士業を使う立場」になって経営するほうがいいでしょう。しかしそれも計画を立てなければ始まりません。

―普段から視点を変えて考える必要がありますね

他に「1億円稼ぐ人は投資の発想ができる」という指摘があります。私も以前からお金の使い方には「消費」と「投資」の二つがあると考えていました。

「消費」はまさにお金を使うだけですが、「投資」にはリターンがあります。私は単なる「消費」は100円ですらもったいないと思いますが、「投資」なら100万円出しても惜しくはありません。

安易にコンビニでペットボトル飲料を買っているうちは、お金は残らないのです(笑)投資の発想ができる人は、将来につながることにお金を出します。

―2冊から読み取れる「ビジネスを成功させる秘訣」とはなんでしょうか?

江上さんは「どんな人にも弱点があり、その弱点を自分の強みで穴埋めしてあげることはできないだろうか......」と考えれば必ずビジネスは成功すると言っています。まさに今後の介護事業展開にヒントを与えてくれる言葉ではないでしょうか。

自身の強みを認識して、お客様の弱点=困っていることに役立てればおのずとビジネスは広がっていくはずです。私もこの言葉からビジネスモデルがひらめきました。

挑発的なタイトルを敬遠する人もいるかもしれませんが、本書の内容はとても骨太で介護事業にも十分転用できます。

2冊とも目を通していただきたいのですが、あえて1冊選ぶなら『年収1億円人生計画』をおすすめします。ぜひ一度手に取ってみてください。(了)