ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第82回「体調管理 風邪編」

2012年7月 3日 22:30

万病の元と言われる「風邪」についてお話します。



風邪は起こるべくして起こっている
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

介護事業者に関わらず、また経営者であろうと雇われの身であろうと体調管理は重要です。特に万病の元と言われる「風邪」に悩まされている方は多いのではないでしょうか。

風邪は上気道(鼻腔や咽頭など)がウイルスに感染し、炎症性の病気にかかった状態のことです。せき、のどの痛み、鼻水、鼻づまりなどの部分的な症状、あるいは発熱、倦怠感、頭痛などの全身症状が出ます。西洋医学的には「風邪症候群」と総称します。

医師は除外診断で風邪かどうかを見極めます。例えばのどに膿がなく、胸の呼吸音に異常がなければ風邪症候群と見なす、といった具合です。

―どのような治療が有効なのでしょうか

インフルエンザウイルスには特効薬がありますが、風邪を引き起こすウイルスにはありません。対処療法として鼻水を抑える薬、せき止め、解熱鎮痛剤などを処方しますが根本治療にはならないのです。

しかし風邪の症状は起こるべくして起こっていることを忘れてはいけません。例えば鼻水は鼻の中を洗い流すため、せきは気管支にある異物を外に出すため、発熱は熱でウイルスを殺すためです。倦怠感は「無理をせず一度休みなさい」という身体からのメッセージだと言えます。

これらの働きを無理やり抑える薬は、人間の自然治癒力を阻害してしまいます。本来は風邪症候群ぐらいで薬を飲んだり病院にかかったりする必要はないのです。

普段から緊張感を持って生活しよう
―風邪は「身体の赤信号」だと言えそうです

その通りです。普段から赤信号にならない生活を心がけたいものです。私は開業当初から体調管理を重視していました。そこで得た経験から風邪予防のポイントをご紹介しましょう。

①規則正しい生活を心掛ける......早寝早起き、夜中に飲み歩かない。どうしても飲み会に参加しなければいけないときは一次会まで。

②家族が風邪を引いたら、近づかせない......冷たいと感じるかもしれませんが、父親がそれほど真剣に仕事へ取り組んでいる姿を示す機会と考えましょう。

③マスクをつける......マスクには加湿効果があり、ウイルスを排除しやすくします。予防効果はもちろん軽い風邪なら治ってしまうことも。

④葛根湯を飲む......軽い風邪なら1、2回の服用で十分(38度以上の熱がある場合は除く)。市販品の他に医師に処方してもらうことも可能。

以上を参考にしていただければ幸いです。

―緊張感を持って生活することが大事ですね

不思議なことに、風邪は自分が「風邪を引いた」と認識したとたんに始まります。ならばどんなに鼻水やせきが出ようと「風邪ではない」と言い聞かせ、自然治癒力で治すという気合が大切ではないでしょうか。

医師にあるまじき発言と思われるかもしれませんが、実はかなり効果的です。これからの季節は夏風邪が心配されますが、加湿はもちろんしっかり汗をかくことが予防になります。冷房に頼るのではなく、人間の原点に戻った生活スタイルが大事です。(了)