ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

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認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第80回「年収の平均値と中央値から、介護職の年収を考える」

2012年6月19日 22:30

低いと言われている介護職の平均年収ですが、メリットも沢山あります。



平均値のトリックにご用心!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

「年収の平均値と中央値から介護職の年収を考える」です。突然ですが、年収400万円の人が30人、500万円の人が40人、600万円の人が30人いたとします。この100人の平均年収はいくらになると思いますか? 答えはちょうど500万円です。

ところがこのなかに年収10億円の大金持ちが1人加わると、101人の平均年収は1485万円になってしまいます。世の中には有名スポーツ選手や起業家など年収が10億円以上ある人もおり、富裕層が平均値を跳ね上げてしまうのです。

そもそも年収はばらつきが多く、場合によっては数千倍以上の差がつくことも。単純に計算した平均値では、私たちの実感からかけ離れた数字になりがちです。

本来平均値は成人男子の身長など、それぞれの差があまり大きくない事象のときに用いるものです。一方、中央値を使うと納得できる数字に落ち着きます。

―中央値とは何ですか?

中央値は、比較する対象を順番に並べたとき、ちょうど真ん中になる数字を導き出す方法です。

先ほどの年収10億円の人を含む101人の真ん中(51人目)の年収は500万円です。101人中100人の年収が400万~600万円ですから、この数値は適正だと言えるでしょう。

この前提で日本人の年収を考えてみます。厚生労働省が公表しているデータによると、2009年度の1世帯あたりの平均所得は549万円。ところが中央値に直すと438万円です。実に平均値と100万円以上も差があります。

そして個人年収(男性サラリーマン)の平均年収は、2010年度で507万円。中央値は456万円です。個人年収の男女合計を見ると、平均値は412万円、中央値は352万円になります。

マスコミ報道などを見て、「平均年収はずいぶん高いな」と感じる人は多いのではないでしょうか。しかし実際は男女を合計した個人年収の中央値352万円が事実ではないかと思います。

自分の努力が報われる介護職
―ひるがえって、介護職の年収はどうでしょうか?

介護職の平均年収は320万~350万円です。今のところ中央値のデータがなく申し訳ないのですが、介護職は年収にそれほどばらつきがないため、平均値と中央値はほぼ同じと考えます。

介護職の平均年収は前述の男女を合計した個人年収の中央値352万円と比べても引けを取りません。しかもこれは経験が少ない一般職の場合です。

ちまたでは非正規雇用がほとんどで、正規雇用の働き口は少ない状況です。しかし介護業界は一生懸命働く気さえあれば、まったく経験がなくても正規雇用が可能です。

また介護職は経験に応じた資格を取得することで着実にステップアップできます。当グループでもパートで入職したのち常勤となり、3年で介護福祉士、5年でケアマネージャーの資格を取った人や部門責任者として活躍する人がたくさんいます。当然給与も上がりますし、好条件の法人に転職することもよくあります。

―介護職は、自分の努力がキャリアや待遇に反映されやすいのですね

他の業種であれば、5~10年働いても一向に評価されないという不満が出ることがあります。しかし介護職は勤続年数と資格が伴うので評価されやすい。今後ますます自分の努力次第で高収入を得ることができるようになると思います。

「何か自分に合った仕事を......」と迷っていたり定職に就かなかったりする人は、思い切って介護の現場で働いてみてはどうでしょうか? きっと得られるものは多いはずです。マスコミ報道を真に受けず、数字を比較検討したうえで介護の世界に入ってくる人が増えることを希望します。(了)