ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第79回「国語ではなく算数で考えることが問題解決の近道」

2012年6月12日 22:30

職場において、数字化して仕事を見える化することが大切です。

数字を使ってスッキリ問題解決!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

「国語ではなく算数で考えることが問題解決の近道」というテーマでお話ししたいと思います。さて、人が「物を考える・理解する・腹に落す」とき、どのような方法を用いていると思いますか? ほとんどの人は何かを理解するときに大まかなイメージをつかもうとしますが、数字に置き換えて考えなければいけないときもあります。

何かと「忙しい」「大変だ」とこぼしている人をよく見かけます。しかし冷静に比較・検討してみると、それほど大変ではなかったと判明することもしばしばです。まさに自分の感覚だけに頼り、数字で考えないケースだと言えるでしょう。

どうも日本人は数値化することを罪悪と考えるふしがあるようです。しかし数字化して議論することはとても大事なこと。当グループも何か問題があるときはできるかぎり数字化して解決するよう心がけています。

―どのようなことを数字化しているのですか?

以前ケアマネージャーから「利用者さんのご家族の都合に合わせて休日出勤をしなければならず、とても大変です」と言われたことがありました。基本的にケアマネージャーの勤務は月曜日から金曜日、1日8時間労働と決まっています。

そこで実態を調査するために記録を取ってみたところ、9名のケアマネージャーがいる中で休日出勤は月に1回程度と判明しました。おそらく、たまたま休日出勤が連続したときの印象が強かったのでしょう。このデータをもとに従来通り休日出勤で対応してもらいたいことと時間外手当を支給する旨を伝えたところ、納得してもらえました。

―これほどスピーディーに合意形成ができるとは驚きです

私が「時間外手当を支給する」とすばやく決断できたのも、数字のデータがあったからです。そうでなければ勤務体制の大幅な変更などを余儀なくされたかもしれません。

もう一つ事例があります。当グループの訪問看護ステーションは1年中24時間体制を敷いており、「夜間・休日の電話待機が大変なストレスです」とスタッフからよく言われていました。

そこで電話の回数および夜間に呼び出された件数を記録したのです。すると電話の回数は週に1、2回。夜間に呼び出された件数は月に1件あるかないか......という結果となりました。

この数字を見て驚いたのはスタッフたちです。それ以来、全員が落ち着いて待機業務に従事できるようになりました。さらに「夜間の電話が多い=日中のフォローが不十分」ということに気付き、いっそう業務に力を入れてくれるようになったのです。

―数字化すると、業務に対する誤解や先入観を取り除くことができるのですね

スタッフを新規に雇用するときも、夜間の待機業務を懸念する人に数字を示し、さらに3000~5000円程度の手当が出ることを説明すればほとんどの場合納得してもらえました。

ところで、人が亡くなる時間帯は真夜中が多いと思っていませんか? 当クリニックの在宅診療では年間40~50人ほど利用者さんを看取っていますが、日中・夜間・真夜中・早朝と四つの時間帯で分類してみると、その数はほぼ均等になります。真夜中に呼び出される件数は全体の4分の1でしかなく、この数字も医師を雇用する際に役立ちました。

小学生レベルの問題が解けない!?
―私たちはずいぶん心理的な要素に左右されているようです

ライフネット生命保険株式会社の出口治明社長も「国語ではなく算数で考えることが問題解決の近道」と言っています。どの職場においても数字化できるところは徹底的に数字化し、仕事を「見える化」することが必要なのです。

余談ですが、バーゲンで定価1万4000円のものが1万円になっていたら安いと思いますか? 基準は人それぞれですが、一度算数で考えてみましょう。

まず、1万4000円の3割引きは9800円です。つまり1万4000円から1万円になっても3割引きよりは高いということ。バーゲンは3割どころか4~5割引きになることも珍しくありません。よって私はそれほど安くはないと判断します。

また「半値八掛け二割引き」という言葉を知っていますか? これは元値の32パーセントで売るという意味です。つまり元値の3割程度になったらかなりお買い得だということ。この基準があればバーゲンで失敗することもないでしょう(笑)

ちなみに当グループの入社試験には「500円の30パーセント増しはいくらですか?」という問題がありますが、半数近くの人が答えられていません。これには私も驚いてしまいました(正解は650円)。

経営者や管理責任者が「来月の売り上げを今月の10パーセント増にしましょう」と言っても、具体的な数字を理解していないスタッフは意外と多いのです。その点を考慮して日頃から算数で考える習慣を身に着けるよう指導すると非常に役立つと思います。(了)