ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第73回「平成24年4月からの改正1」

2012年5月 1日 22:30

改正の目玉である「定期巡回 随時対応型訪問介護看護」についてお伝えします。

訪問介護と訪問看護の違いとは?
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

平成24年4月から介護保険制度の改正が行われ、いくつかの新規サービスおよび報酬が改定されました。今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護をご紹介したいと思います。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護はこのたびの改正の目玉であり、地域包括ケア(地域住民が必要とする福祉サービスを関係者が連携して提供するしくみ)として期待されています。

しかし、その前に訪問介護と訪問看護の違いを理解することが必要です。

―確かに、両者の区別ができている人は少なそうです

私は2000年4月の介護保険制度施行時から訪問看護を行っていますが、講演などで私を紹介してくださる際に「訪問介護」と間違われることはよくあります。いまだに言葉が混在して使われているようです。

訪問介護はいわゆるヘルパーのことです。食事や入浴、排せつなどの介助をする「身体介護」と、掃除や洗濯、買い物、調理などの「生活援助」を行います。

一方訪問看護も療養上のお世話として、看護師が身体の清拭や入浴、食事や排せつなどの介助および指導を行います。

訪問介護とあまり変わらないようですが、看護師は病状の観察や障害の状態、血圧・体温・脈拍のチェックをはじめ医師の指示があれば褥瘡(床ずれ)などに対する医療的な処置も施します。

つまり訪問看護はヘルパーに近い仕事から医師同様のレベルまで幅があるのです。ちなみに当グループの訪問看護は年間40~50名をみとり、医師とともに365日24時間体制で対応しています。

本当に必要なサービスとは何か?
―改めて定期巡回・随時対応型訪問介護看護とはどういうものなのでしょうか?

「日中・夜間(24時間)を通じて1日に複数回の定期訪問と随時の対応を介護と看護が一体的に、または密接に連携しながら提供するサービス」と定義されています。中・重度の要介護者の在宅生活を可能にするために創設されました。

素晴らしい取り組みではありますが、現場を知る者からすると心配なこともあります。まず定期巡回・随時対応型訪問介護看護が、本当に中・重度の要介護者に必要とされるのかという疑問です。

他にも訪問介護サービスだけで十分にお客様のニーズを満たしているにも関わらず、さらに訪問看護サービスを上乗せしようとしたり、全国に訪問看護ステーションを立ち上げたりする事業所もあります。

これは厚生省の目的と一致しないどころか、介護報酬や貴重な看護師の浪費につながりかねません。

―定期巡回・随時対応型訪問介護看護の定着には、まだまだ問題が多そうですね

このサービスは市町村が事業所を指定し、事業所数などを調整しなければいけません。当然ながら責任が非常に重くなります。

実際どれだけのニーズがあるのか、本当に24時間対応できる人材が確保できているのかなど、問題は山積しています。その影響もあってか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は宣伝しているわりに不人気です。

―では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護がもたらすメリットはありますか?

訪問介護と訪問看護を使い、制限いっぱいまで介護報酬を取ろうとするサービス付き住宅などを規制する第一歩になると思います。これは厚生省も意図するところでしょう。

私個人としては、ターミナルケア(終末期医療)の現場で奮闘している訪問看護師が報われる改正になるよう期待しています。(了)