ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
番組のご感想・長谷川嘉哉へのご質問はこちらから
http://brain-gr.com/podcast/

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第72回「経営者の時間の使い方2」

2012年4月24日 20:30

重要なことは"生み出した時間"をいかに効率的に使うかです。



できる経営者ほど朝に強い!
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

前回は時間の生み出し方をご紹介しました。今回は生み出した時間を効率的に使う方法をお話ししたいと思います。

まずは早朝から仕事を始めることです。私は経営者仲間の早朝勉強会に毎月5回ほど参加しています。どれほど忙しい経営者であっても朝6時台に予定が入っている人はあまりいません。早朝は携帯電話も鳴らず、仕事がはかどります。できる経営者ほど朝が早い傾向があると言えるでしょう。

―早起きが苦手な場合はどうすればいいでしょうか?

厳しいようですが、それは甘えではないでしょうか。そもそも安易に「早起きが苦手」などと発言してはいけません。なぜなら人間の脳はその人が発した言葉に従うからです。そこでこの性質を逆手に取り、「私は朝に強い」と言い続ければ本当に早起きができるようになります。日頃から前向きな言葉を口にしましょう。

また、経営者には複数の仕事が一度に舞い込んでくることも珍しくありません。そのような場合は一つずつ仕事に取り組む人が多いと思いますが、脳の働きから考えると必ずしも効率的とは言えないのです。

例えば三つの仕事を3日で終わらせたいときはそれぞれを3~4割の状態で同時進行させ、3日続けたほうが集中力や精度は高まります。こうした知識があればむやみに焦ることもないはずです。

―読書や講演会などの時間をより有益にする方法はありますか?

経営者が日々情報収集に努めることは大切です。ところがせっかく情報を仕入れても数日後にすっかり忘れてしまってはいないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが読書や講演会の2~3週間後に内容をまとめること。なぜならこの時期にまとめ作業をすると脳の海馬にあった記憶が大脳皮質へ移動し、単なる情報が知恵に変わって定着するからです。

―読書の直後ではないところがポイントですね

どんなに読書をしたり講演会に参加したりしても、記憶が残らなくては意味がありません。ぜひ2~3週間後に内容をまとめて大脳皮質に知恵を蓄える習慣をつけてほしいと思います。

―読書や講演内容をまとめたものはどのように管理すればいいでしょうか?

まとめはA4用紙1枚程度の量にします。そしてGmail(google社が提供する無料メールサービス)で自分のアドレス宛に送るのです。こうしておけば時間が空いたときに再読したり、検索したりすることが可能です。

散歩の時間はアイデアの宝庫
―通勤時間をどのように活用していますか?

私は片道30分、往復1時間の自動車通勤をしており、その間は会計士向けのCDを聞いています。多少難解な部分もありますが3往復もすればおおよその内容は理解できます。それでもわからないことは直接会計士に質問します。CDの他にポッドキャストもおすすめです。文字だけでなく音声から情報を得ることもいい方法だと思います。

また、休日の散歩はたくさんのアイデアを生み出してくれます。かのベートーベンも歩きながらアイデアを練ったそうですが、私も散歩すると脳が刺激されて講演のアイデアが次から次へと出てきます。

それらを逐一メモすることは大変ですので、ICレコーダーを持ち歩いています。最近のICレコーダーは小さな声でも吹き込むことができ、後で再生しても十分に聞き取れます。散歩から帰ったらマインドマッピング(キーワードや円、矢印などを書いて情報を整理したり思考を視覚化したりする手法)のパソコンソフトを使って全体の構成を考えます。さらにワードに変換して体裁を整えればレジュメ完成です。私が年間50回以上講演できるのも、この習慣があるからだと思います。

―ところで、悩みごとを紙に書き出すだけでも効果があるそうですね

経営者には仕事の問題だけでなく、夫婦間や家庭のトラブルも同時に発生することがあります。そんなときは「ただでさえ仕事が忙しいのに、どうして」と、混乱してしまうでしょう。人間は三つ以上のことが同時に起こるとパニックになってしまうのです。事態を深刻に捉え、「自分の人生は終わりだ」とすら思うかもしれません。しかし、そんなときこそ紙に書き出すのです。

非常にアナログな方法ですが、いざ紙に書き出してみるとそれほど大変なことではないとわかったり優先順位をつけたりすることができます。いわゆる筆記療法です。私はスタッフにも「仕事が混乱したらとにかく書き出しなさい」と言っています。

―筆記の形式やきまりごとはあるのでしょうか?

いいえ、形式は自由です。無理せず自分が困っていることをどんどん書いていきましょう。それだけで気持ちが楽になり、心の健康を取り戻すことができます。

日記もおすすめです。一度インプットした情報をアウトプットする作業は知識の定着を促します。私も10年以上日記をつけています。人はいろいろな悩みを抱えているものですが、過去の日記を読み返すと同じようなことが書かれていたり、解決のヒントを見つけたりするかもしれません。

人間の脳は紙に書いた時点で「記録された」と認識し、「この問題は頭に入れておく必要がない」と考えます。すると安心や客観視する余裕が生まれます。膨大な量の仕事が舞い込んだときや悩みで頭がいっぱいになっているときは紙に書き出すことをおすすめします。(了)