ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第71回「経営者の時間の使い方1」

2012年4月17日 20:30

重要なことは"絶対的な時間"をいかに生み出すかです。



経営者がしてはいけない二つのこと
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか?

私はひんぱんに講演を行ったり本を執筆したりしていますが、医者としての仕事をおろそかにしているわけではありません(笑)そこで今回は「忙しい日々の中で、どのように自分のための時間をねん出しているのですか?」というリスナーの方のご質問にお答えしたいと思います。

―長谷川さんの1日の過ごし方を教えていただけますか?

私は毎朝5時45分に起床して朝食を取り、6時半に家を出て7時過ぎにはクリニックに到着します。そして30~40分ほど日経新聞を読みながらウォーキングマシンで運動します。

幹部との朝礼・会議を経て9時から外来診療を始めます。これは12時半ぐらいに終了しますが、この後に約束していた人との面談が入ることもあります。
それからようやく昼食を取り、マッサージ器を使って10分程度息抜きをします。

14時には訪問診療に出かけ、7~10件回ってクリニックに戻ると16時半です。そのまま19時まで夕診を行い、さらに会議がある日は20時までかかります。

20~21時に帰宅し、食事や入浴を済ませ、読書をします。就寝はだいたい23時半です。睡眠時間は1.5時間の倍数を心がけており、基本的に6時間。それが無理なら4時間眠るようにしています。

―長谷川さんが自分の時間をつくるために意識していることを教えてください

一つはたばこを吸わないことです。例えば1日20本たばこを吸う人の場合、1本あたり2~3分だとすると1時間程度無駄にしていることになり、何よりも体に毒です。

厳しいことを言うようですが、たばこを吸う経営者は信用しません。なぜならスタッフの人生を預かり、お客様への責任を果たすという自覚があまりにも薄いと思うからです。

もう一つはお酒をあまり飲まないこと。私は年間100冊程度本を読みますが、これも節制できているからだと思います。

どうしても晩酌をしたい場合は、その後読書ができる程度に抑えましょう。こうすれば自分のための時間がつくれると思います。

―経営者は外でお酒を飲む機会が多いのではありませんか?

その通りです。だからこそ本当に必要な会合なのかを検討しなければいけません。「時には付き合いや交流の場が必要」などと言いつつ、単に自分が飲みたいだけということはよくあります。

また、二次会への参加は止めてください。たとえ本当に必要な会合でも、二次会まで出る必要はありません。その分早く帰宅して家族との時間を大切にしたほうがいいと思います。

休日は、次週の準備に使いましょう
―休日はどのように過ごしていますか?

私は休息と次週の仕事の準備をするために使います。新しいビジネスプランの構想、原稿の執筆、講演のレジュメ作成や読書のまとめなど、平日にできないことをします。

ただし休日にまとめて仕事をしようと思っても、何も手をつけていない状態から始めることは非常に困難です。これは人間の脳の性質からも言えます。

そこで全体の1~2割だけでも平日の間に着手しておくと比較的スムーズに集中でき、効率がアップします。

もちろん経営者は週末に仕事が入る場合もありますので、そのときは平日の間に終わるよう工夫することも必要です。

―長谷川さんの時間の使い方は、実にストイックで驚きました

カレーハウスCoCo壱番屋の創業者宗次徳二さんをご存じですか? 現在は特別顧問となり現場を離れていますが、第一線で活躍していた頃は友人もなく、趣味も持たなかったそうです。

宗次さんですらこれほどストイックに徹してCoCo壱番屋を育て上げたのですから、私たちはなおさら気を引き締めなくてはいけません。それが嫌なら経営者を辞めるべきだと思います。

―余談ですが、長谷川さんが精神的に参ってしまうときはありますか?

経営者が精神的に参ってしまうのは、会社が潰れたり、潰れそうになったりしたときです。

どれほど多くの友人がいても、自社の経営や資金繰りの悪化を食い止めるのは経営者しかできません。ましてやお酒を飲んでごまかすなどもってのほか。経営者の道を選んだ以上、「仕事で仕事の疲れを取る」という気概が必要ではないでしょうか。

とはいえ、家族は大事にしましょう。こう言うとつまらないと思われるかもしれませんが、家族との約束も仕事同様に重視し、予定に組み込むことが大切です。

ちなみに私が自宅で仕事をする場所は家族がいるリビングです。親が仕事をしている姿を子どもに見せることは、「勉強しなさい」などと小言を言うよりも効果的だと思います。(了)