ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。

インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第69回「貸借対照表」

2012年4月 3日 20:30

当座比率と自己資本比率をチェックしましょう。



貸借対照表に出る会社の体質
―今回はどんなお話をしていただけるのでしょうか

これまで4回ほど決算書の一つである損益計算書について解説しましたので、今回は貸借対照表(バランスシート)を取り上げたいと思います。ところで、損益計算書と貸借対照表ではどちらが大切だと思いますか?

答えは貸借対照表です。さんざん損益計算書の話をしておいて申し訳ないのですが(笑)決算書は「お小遣い帳」に似た損益計算書を先に説明したほうがわかりやすいため、この順番になりました。

―もう一度損益計算書とはどんなものか教えていただけますか?

損益計算書は単年度(1年間)の会社の成績を記したもので、いわば会社の「体力」を示しています。

一方、貸借対照表は過去の蓄積を記したもの。こちらは会社の「体質」を表していると言えるでしょう。

そのため損益計算書の数字は比較的早く改善することができますが、貸借対照表は長い期間を必要とします。

―貸借対照表にはどんなことが書かれているのでしょうか

貸借対照表は「会社がどのような方法でお金を調達したのか」「調達したお金は何に変わったのか」を表しています。

つまり経営者が借金をしたり貯金を使ったりして購入した土地や建物=資産を記しているのです。

―貸借対照表には経営者の性格や考え方が反映されるそうですね

外車やゴルフ会員権が資産に入っているものがあるかと思えば、プライベートの要素を一切排した真面目なものもあり、ひとくちに貸借対照表といっても実にさまざまです。特に銀行員は貸借対照表を見るだけで経営者の人となりがわかると言います。

―貸借対照表の項目で特に注目すべきものはありますか?

必ずチェックしてほしいのは当座比率と自己資本比率の二つです。

当座比率=(流動資産-棚卸在庫)÷流動負債

で計算します。
これが70~100パーセントなら問題はありません。理想的な数値は150パーセントです。

分母に相当する流動負債は返済しなければいけないお金です。もしそれ以上の現金が手元にあれば当座比率は100パーセントを超え、余裕がある状態だということになります。

反対に100万円を返済しなければならないのに手元に50万円しかない場合の当座比率は50パーセントです。つまり当座比率の数字は大きいほうがいいのです。

ただし、注意してほしいことがあります。例えば当座比率が200パーセントを超えているにも関わらず長期借入金を返済していない会社はその一例です。

できるだけ貯金したいという気持ちはわかりますが、この場合は返済に充てましょう。定期的に指標を確認し、フィードバックすることが大事です。

自己資本比率の改善方法とは
―自己資本比率について教えてください

先ほど貸借対照表は「会社がどのような方法でお金を調達したのか」を表すと言いましたが、お金の調達方法は「人から借りる(負債)」と「自分でお金を用意する(自己資本)」に大別されます。

また「負債=返済が必要なお金」「自己資本=返済が不要なお金」と言い換えることができます。

自己資本比率=自己資本÷(負債+自己資本)

で計算します。

ちなみに自己資本は会社を興すときに自分で用意したお金と、これまでの利益の積み重ねからなります。

自己資本率を計算することによって、各方面から調達したお金のうち自分が用意したお金と利益の積み重ねはどれくらいなのかを知ることができます。

―自己資本比率の適正値を教えていただけますか?

一般的には40パーセント以上であれば安全だとされています。また自己資本比率は分数ですので、分子を増やすか分母を減らすかして改善することができます。

分子を増やすには利益を出し続けること、分母を減らすには借入金や不良資産を減らすことが大事です。

不良資産とはほとんど使っていない土地や建物、自動車、ゴルフ会員権などです。これらを売却すれば自己資本比率が改善されることでしょう。

―当座比率と自己資本比率の改善は、長谷川さんが提唱する「骨太経営」の実現になくてはならないものですね

その通りです。「骨太経営」は「キャッシュフロー経営(現金資産の増加を重視する経営)」とも言えます。

貸借対照表の当座比率と自己資本比率を常にチェックし、改善し続ける。そうすれば大きな天災が起きて1年間の売り上げがゼロになっても、従業員に給料を支払うことができます。

まさに「何があっても潰れない会社」ではないでしょうか。ぜひみなさんもこんな会社を目指していただきたいと思います。(了)