ライフドクター長谷川嘉哉の転ばぬ先の知恵(旧:介護事業の知的創造コンサルティング)

ビジネス、勉強、マネープラン、介護、ライフワークバランス……
認知症専門医であり、経営者でもある長谷川嘉哉が人生を10倍豊かにする知恵をお届けします。
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インタビュアー/ポッドキャストプロデューサー:早川洋平(キクタス) 制作協力/和金HAJIME

第66回「経営の指標」

2012年3月13日 20:30

売上、粗利、人件費、その他経費に目を配り、筋肉質な経営をしましょう。



経営者は「受け身」になってはいけません
―今回は経営の指標についてお話しいただけますか?

経営の指標とは粗利率、労働分配率、経営安全率のことです。会計事務所から毎月10日前後に月次決算書を受け取るようになったら、これらの数字を自分で拾って入力する習慣をつけてください。

―なぜ自分で入力する必要があるのでしょうか?

会計事務所に経営の指標まで依頼してしまうと、経営者は外部からの情報をインプットするだけの「受け身」になってしまうからです。すると大切な情報を聞き流したり埋没させたりするのです。

一方自分で数字を拾って入力する動作を行うと、脳は外部からの情報をいったん加工してから出す(=アウトプットする)働きをします。アウトプットが脳に与える影響は絶大で、情報の保持や理解度を上げる効果があります。

優秀な経営者は自社のデータをよく把握しているものですが、彼らも普段からアウトプットを心がけているはずです。

―長谷川さんが経営の指標を重視するのはなぜですか?

かつての私は四つの法人を運営しつつも、常に「これでいいのだろうか」と不安を抱えていました。

ところが経営の指標を理解し、そこから導き出された目標を達成するために行動するようになってからは精神的に安定しました。

さらに次から次へとアイデアが浮かび、今まで以上にチャレンジ精神が旺盛になったのです。みなさんもぜひ経営の指標を理解し、どんどんビジネスを発展させてほしいと思います。

―経営の指標(粗利率、労働分配率、経営安全率)について改めて解説していただけますか?

介護事業の場合、粗利率はサービスの種類に応じてだいたい決まっています。そのため自社が手がけるサービスは何パーセントなのかを把握しておけば大丈夫です。

ちなみに粗利益は売り上げから変動費を引いたものです。訪問事業系はほとんど変動費がないので100パーセント、デイサービスなど食材費が関係する事業は90パーセント台になります。

―何を変動費にするかがポイントになりますね

一般的には食事の材料費や生活関連費が変動費になりますが、非常勤スタッフの給料を入れることもあります。変動費は指標の信頼性を高める非常に大切な要素です。

「筋肉質な経営」をするために必要なこと
―労働分配率について教えてください

専門職が中心となる訪問リハビリや訪問看護事業は労働分配率が60パーセント近くになりますが、やはり50パーセント以下を目指すべきでしょう。

ただし、やみくもに人件費を削ればいいわけではありません。労働分配率は粗利益を増やすことでも減らせます。

さらにスタッフ一人当たりの平均賃金も頭に入れておきましょう。たとえ労働分配率が適正でも、平均賃金が低ければワーキングプアを大量に生み出しているに過ぎません。

あくまで「労働分配率は低く、人件費は少しでも多く」が基本です。そのためには一人ひとりの労働生産性を上げることが必要になります。

―経営安全率はどのように考えればよいでしょうか?

経営安全率は経常利益を粗利益で割ったものです。介護事業は平成24年4月に介護報酬が改定され、今後も厳しい状況が続くと考えたほうがいいでしょう。経営安全率も10~15パーセントを維持したいところです。

経営安全率15パーセントを達成するには、売り上げ・粗利益・人件費・その他経費に目を配り、徹底的に無駄を省いた「筋肉質な経営」をしなければいけません。当グループは現在12~13パーセントですが、目標を達成するべく努力を続けています。

―長谷川さんは、「5年先の決算書」を作成しているそうですね

当グループはあらかじめ5年先の決算書(=60カ月後までの決算書)を作成し、月次でチェックするという取り組みを7年ほど続けています。

この経験から言えることは「たとえ最初は夢物語のように思えても、毎月設定した目標を達成し続ければ予想以上の成果を出せる」です。

みなさんもぜひ5年先まで計画を立て、それを達成するために行動してほしいと思います。(了)